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「えへへ。似合うよって言われたから、試してみて────、」
「随分楽しそうだね、お前」
「……え？」
プレゼントされたなんて聞いてないし、俺じゃない誰かに貰った服をそんなに喜ぶだなんてきしょく悪い。
さっきまで俺の手の中でコロコロと転がされていたその子が可愛いと思っていたのに、他の誰かの手にも渡ってると思うと虫唾が走る。
今日は優しく大事に。なんて思っていたのに牙が現れてしまう。
両手を彼女の首元にかけ、まだ優しく撫でる。
「……誰から貰ったの？ そんなに嬉しそうにしちゃって」
「え、……だ、だれって、」
「俺。あげてないよね、それ。そんなのプレゼントしてない」
「うん。……ばぁうくんからじゃないよ？」
あーぁ、なんて馬鹿な子なんだろう。
素直に答えて偉いけど、怒らせるのも上手だなんて可哀想。
「そんなの知ってるんだけど」
「あっ、……ごめんなさい」
「他の男からプレゼントされた服きて嬉しそうにしてんの？ 俺から貰った首輪してるくせに？」
「ん、ぇ？」
煽ってんの？
試されてんの？
俺が？
お前に？
気分悪すぎるんだけど。
もういっそこのまま、首にかけた手を強く握りしめてしまいたいなんて思ってしまう。そしたらきっと、驚いた可愛い顔を見せてくれるんだろうな。
手に力が入った時、彼女の方が一足早く声を出した。
「男の人じゃないよ……？」
「は？ だって、プレゼントって……」
「あっ。……それはツバキさんが。
この前遊んだ時にね『ばぁうくんとデートの時に着てね』って」
「……」
「あんまり選ばない服だけどね、ツバキさんみたいに大人っぽい服も着てみたくて……」
「どう、ですか？」なんて緊張して敬語になってしまう彼女。彼女の言葉を1つ1つ理解する度に自分が勘違いをしていたのに気がついた。
「はぁ……っ、」
「？？ ばぁうくん？
あ、あんまり似合ってなかったかな。やっぱりいつもの服の方が……」
「うーうん。似合ってる。いつもと違ってドキドキしてるから、そのままでいて」
「っっ」
あー……。
勘違いして恥ずかしくて死にそう。
彼女に情けない顔を見せたくなくて都合よくハグをした。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
