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「！ ツバキさんっ、」
待ち合わせの場所まで向かった時、一際目立つオーラがあった。
あの空間だけ空気清浄されているんじゃないかと思うくらい綺麗なその場所に近づく。
まひとくんの色に染まる瞳が私を捉えて、ニコリと微笑む。
なんだか女神様を見ているみたいだった。
「Aちゃん。……ふふ。そんなに慌てなくても大丈夫だったのに」
「遅れて、ごめ、……っ、」
「大丈夫よ。ほら、ちゃんと息吸って……？」
「すぅ……、はぁっ、……」
普段の運動不足が襲ってきたのか、ちょっと走っただけで息が切れてしまう。
ちゃんと運動しているつもりなんだけどな……。
ジムとか通い始めた方がいいのかな……。
息を整えながら真剣にそんなことを考えていれば、ばぁうくんとは違う華奢な指が私の背中を撫でる。
「ふふ。今日は災難だったわね。
でも最近は遅延ありがちみたいよ。
運が悪かっただけだわ」
「そう、なんですか……？」
「ほら。年末だと色々仕事が忙しくなる時期じゃない？
思い詰めて、……とか。
疲れてふらっと、ってあるみたい」
ふらっと、飛び込みたくなるなんて……。
プールじゃないんだから……。
けれどそれだけ現代人が社会で苦しんでいるという証拠だろう。
駅を利用する人じゃなくても他の場所で身を投げ出すような行為が日本は増えていると聞く。
「……ゆっくり休んでほしいです、」
「ふふ。そうね」
居場所がないのもひとつの理由としてあげられているらしい。
……ばぁうくんに可愛がってもらえばいいのに……。
リスナーさんとして。
流石に彼女の立場を取られてしまったら困ってしまうけれど、でも推して損はないよと伝えたい。
「あの。今日は急に誘ったのにありがとうございます」
「それも全然。私も会いたかったわ。2人っきりで」
「っ！」
こういうセリフがサラッと言えるツバキさんはクスッと上品に笑う。
「ほら。行きましょうか」なんて手を差し出されて、顔を赤らめたまま手を取る。
なんでこんなにスマートなんだろう。
まひとくんとのデートもこんな感じでツバキさんがリードしてるの、かな……？
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
