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「ばぁうくん……？」
「ん？」
「仕方ないって……、なにが……？」
話をあまり理解出来ていなかった私が聞き返すとふっ、と笑いながらおいでと手招きされた。
頭に疑問を抱きながらも彼の手の中に入ればいつものように優しいキスから流れで抱きしめられる。
最近わかったことだけれど、ばぁうくんはかなりスキンシップが好きだ。それもすごくすごく甘い気がする。
前はなんだかツンツンしてるイメージだったけど、最近は可愛がるほうが多いかも……。
心境の変化なのかな。
「友達と一緒にだったらいいよ。誰か呼べそう？」
「いいの……？」
「その代わり、ちゃんと誰と行くか。どこに行くかは教えて。
何かあったらすぐ行けるようにしたいから」
「うん。わかった」
過保護な所は昔から変わっていないけれど、彼が心配して言ってくれていることはわかった。
「1回、みんなに聞いてみるね」
「うん。もし無理そうだったらまた言って？
一緒にその場所まで行って別行動とかするから」
「……」
「何」
「それなら……、デートが……」
私から言い出したことなのは分かっているのだが、そこまで一緒に行くのなら流れでデートをしたい。
わざわざ別行動しなくても……。
なんて本末転倒な事を口走る。
するとわしゃわしゃと頭を撫でられてしまった。
「もぉー。すっごいわがままじゃんお前」
「うっ、ごめんなさい」
「いいけどさ」
「かわいい、」そんな甘ったるい声が耳元に落ちる。
その度に心臓が動いて『すき、すき……』と愛が積もっていく。そんなこと、きっとばぁうくんは知らないんだろうな。
あわよくば、誰も誘いに乗ってこないで欲しい、なんてダメなことを願ってしまう。
「デートはまた今度ね。……お前の誕生日の日とか。
2人でどっか行こ」
「！ うんっ！」
こんな約束にでさえ嬉しくて。
その日が待ち遠しくなってしまった。
こうした小さな幸せが積もっていく度に胸を揺らしていく。
その感情も今では愛おしいものだ。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
