01￤Lounge『A』／ KnightA (ページ18)

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▽14￤ピアス　⚔️💛 ページ18

✦ 黄色の騎士が姫を尾行する話 ✦

「はーい。じゃ、気をつけて行ってくるんだよ」

　そうまさんに頭を撫でられた姫はどこか嬉しそうに微笑んで「行ってきます」と言ってこの場所を離れた。
　雛鳥が親鳥から離れる瞬間のような寂しさを胸に抱きながら送り出してみたものの、やはり気になる。

「んー……、どうしたものか」
「まあ今日は普通に学校とか仕事に行くだけって言ってたんだけど……」

　お迎えが必要ないだなんて初めて言われた彼は姫が何か悪いことに引っかからないか不安だった。
　一応カバンの中に仕組んで置いたピアス。

　居場所も分かれば、声も聞こえるという優れものをしゆんさんから貰っていたそうまさん。早速使うことになるとは思ってもみなかった。

「とりあえず、姫の業務が終わるまでは俺も自分の仕事をして……」
「いつもの迎えの時間に様子見に行ってみるか……」

　姫の無事を願って彼は溜まった仕事をこなしていく。基本的に書類のまとめや上とのやり取りなんかを引き受けているため、彼は色々と忙しい人だ。そんな中でもやはり愛しい姫に会える時間は癒しにもなるし、単純に嬉しい。

　姫の為に仕事が出来ていると言っても過言では無い。

　だからこそ、今日の姫の言葉には少々傷ついた。なんというか「あ……、いらないんだ、」とちょっとショックを受けてしまったのだ。

「っと。もうこんな時間か」
「そろそろ姫の元に……」

　まだ位置が動いていないのをスマホで確認して、いつもの時間よりも早く姫を迎えに行く。

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　建物の前で待っていると友達と一緒に出てくる姫の姿があった。どうやら今日は放課後、仕事の後に仲のいい女友達と遊びに行く予定だったらしく、その為護衛は不要ということだったらしい。

「全く……。それならそうって言ってくれたら良かったのに」
「……楽しそうにしちゃって」

　Lounge『A』でしか知らない姫の顔とは違うその横顔にふわりと微笑む。姫が幸せそうに笑える場所があって良かったと、心の底からそう思っている。

「さっ。先に帰って姫の夕食でも作りますか！」

　いつか離れる時が来ても、姫が幸せなら、それで。

　黄色の騎士はたまにパパになる。

𝐍𝐞𝐱𝐭 ❥❥❥ ⚔️❤️