▽13��ピアス ⚔️💚 ページ17
✦ 緑色の騎士が姫を尾行する話 ✦
「え。……今日護衛がいらないって……」
「え、なんで？？」
姫の髪を解きながらいつも通り2人っきりで出かけられると思っていたしゆんさんは「今日は1人で出かけるから」と姫の口から告げられた言葉が受け入れられなかった。
「どうしても……？」
「いやいや。普通に危ないじゃん」
「え、危ないヤツうじゃうじゃいるんだよ？」
「分かってる？」なんて真面目な顔をしながら伝えるが姫は「大丈夫」と言い切る。当然護衛が必要ないと言われてしまった彼はギャン萎えだ。
「…………」
「え。雑になってないし」
「フツーだけど」
「ま、いいや。……はい。コレ、ピアス」
不貞腐れてしまったしゆんさんは不機嫌が表に出て来てしまった。もう少し前から言っておけば良かったなと思った姫は、彼から差し出されたピアスを耳につけて出かける為に靴を履く。
「……迎えもいらないの？」
「へー。あっそ。一生迎え行かねーよ」
完全に不機嫌面倒くさいモードだ。そんな彼を置いて出ていくのが少々気がかりではあるが姫は悩んでいる時間もないため早足で待ち合わせの場所に向かうことにした。
「……。あんな早足で出ていくことある？」
「ま、会話は聞こえるからいいけど」
姫につけたピアス。以前まひとくんが使っていたそれに会話も聞こえるように内線も一応つけておいたが、まさかこんなに早く役に立つ時が来るとは思わなかった。
「音はバッチリ聞こえるし……」
「たまーに1人で買い物するんだよな、姫」
「この前みたく男に見られたくないものか……」
本当に彼氏なんていう気持ち悪い存在が出来たか。姫の跡をつけながら、耳から流れてくる会話を聞く。
「……女友達か」
「いや、でも男の声」
会話で友達の彼氏を紹介するというものが聞こえてきて早足で姫の元まで駆けつけダブルデートというていで邪魔してやろうかなんて一瞬考えた。
「……ただの騎士がそこまでする必要ないか、」
踏み出せないでいる後一歩。
姫と騎士という立場がたまに嫌になってしまう瞬間を味わった彼はイヤホンを外して姫の帰りを待つことにした。
緑色の騎士は姫のことが────。
𝐍𝐞𝐱𝐭 ❥❥❥ ⚔️💛
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月14日 18時
