▽10��眠り姫 ⚔️🩷 ページ14
✦ 桃色の騎士が姫を起こす話 ✦
ちゅんちゅんと、小鳥のさえずりが聞こえる朝。
曇りひとつない快晴。そんな中まだ眠っている寝坊助な姫に会いにいく。
「失礼します」
「……って、やっぱり……」
昨日は相当お疲れだったようで早めに就寝すると言っていた。早く寝た所で早く起きれるという訳ではないらしく、姫はまだ夢の中を旅している。
「……もう。凄く気持ちよさそうな顔で眠ってるじゃん」
「これじゃあ起こすの勿体ないなぁ……、」
出来ることなばこのまま寝かせてあげたいのだが、そういう訳にもいかない。なんせ姫はお忙しい方。
起きている時間ずっと動き回っている気がする。
「もうちょっと休んでもいいのにな」
「……頑張り過ぎちゃうところがあるから、姫は」
「まあ、とってもいい所なんだけどね」
「でもたまに心配になっちゃうよ」
姫のそばまで行って、優しく髪を撫でるピンク色の騎士。起きている時は気安く触れられる方では無いから、寝ている時だけこっそり。
よしよしと姫の頭を撫でて、ゆっくり微笑む彼。
「いつも頑張ってて偉いね」
「よしよし」
あどけない寝顔。前に姫に送ったピンク色のクマのぬいぐるみを抱きしめて眠る姫はまだ起きたくないのか、ギュッとに握ったまま、ベッドの中に潜り込もうとする。
「あっ、だめだよ」
「姫？ おはよう。朝だよ。起きて」
「んー、じゃなくてっ。 起きなきゃだよ」
ぐずっている姫がポツリ、呟く。
「寝顔みないで」と。残念ながらこっちはたっぷり見た後だ。どうしたものかと思いながらも「見ないよ」とだけ返した。
「寝顔見ないから、おーきーてーっ」
「……あっ。起きた？ ひょこって顔出すの可愛い」
「からかってなんかないよ。本当に可愛いなって思ったから」
「ほら。照れてないで起きるのっ！」
「起きないとチューしちゃうよ。いいのっ？」
そんな脅しをしてみるが、姫にとってはむしろご褒美みたいなもので目を瞑ったまま。てるとくんは少しだけため息をして、「全くぅ……、」と姫の顔に唇を近づけた。
「……、」
「はい。今はほっぺだけだよ」
「続きは今度、ね？」
桃色の騎士はお預け上手。
𝐍𝐞𝐱𝐭 ❥❥❥ ⚔️🩷
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月14日 18時
