01￤Lounge『A』／ KnightA (ページ11)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:4,294 hit

▽08￤ピアス　⚔️🩵 ページ11

✦ 水色の騎士が姫を尾行する話 ✦

　半歩後ろ。
　普段ならその位置で姫を守っている彼は、今日だけは50歩ほど後ろで姫を見守りながら歩いていた。

「うぅ、今日どこ行くの？って聞いたらはぐらかされちゃったよ」
「なになにっ？もうまひちゃんのこと嫌いになっちゃったってこと？？」
「そんなの耐えられないっっ！」

　それに自分が見ていないところでもし、万が一誘拐にでもあったら。誘拐じゃなくてもナンパや変な男につけられていたのなら護衛任務失格である。

「そんなことには絶対にさせない……っ！」

　今朝、姫の身支度の時にGPSがついたピアスをつけてあげた。だから遠くからでもスマホさえあれば姫の場所は把握できるというのに、心配性な水色の騎士は姫の跡をつけている。

　これが吉と出るか凶と出るかは分からないが、「心配」という気持ちだけで動いているまひとくんは数メートル先にいる姫を見守っていた。

「……にしても、どこに行くんだろう？」
「お友達と遊ぶ時は大抵お話してくれるし……」
「そうじゃない時は誰か騎士をつけてくれるのに……」

　まさか、姫を誑かした男がいるんじゃ……。
　あの「彼氏」とかいう存在が姫に出来たんじゃ……っっ！！

「無理無理っ！そんなの耐えられないっ！」
「僕らだけの姫なのにっ！そんなどこの馬の骨かも分からないようなヤツに僕らの姫を渡すなんて……っ、……あ、……れ？」

　自分の中で葛藤していると、先程まで前で歩いていた姫を見失ってしまった。

　キョロキョロと辺りを見渡すがどこにも居ない。
　目を離した隙にどこかへ行ってしまったようだ。

　こんなこともあろうかと(本当は違うけど)用意していたGPSの電源を入れれば近くのショップで水色の光が点滅している。

「ここって……、」
「……っ！」

　その光を元に辿っていくと女性用のランジェリーショップ。そりゃあ姫も騎士を付けないわけである。

「ま、まあっ！最初っから分かってたけどねっっ！」

　逃げるようにしてラウンジへと先に帰るまひとくん。少し頬を赤らめながら、姫の帰りを今日も特別な場所で待っていた。

　水色の騎士は早とちりさん。

𝐍𝐞𝐱𝐭 ❥❥❥ ⚔️💚