▽01��眠り姫 ⚔️🩵 ページ2
✦ 水色の騎士が姫を起こす話 ✦
すやすや。
姫が眠る部屋を1度ノックしてから入り込むひとつの影。
見事ジャンケンで勝った彼は『親愛なる姫に1番に会える』という権限を貰った。白い家具で統一された姫の部屋。
童話のお姫様が眠っていそうな広いベッドの真ん中で眠る姫。そんな姫の傍まで行って寝顔を見つめる彼は、前かがみになった時水色の髪が耳から流れ落ちてきたことに気がついた。
「あっ、……ピン。付けるの忘れちゃってた」
危うく正装とは違う姿で姫を起こそうとしていたまひとくんはポケットから双葉の髪留めを手に取り、近くにあった鏡を見ながら、流れてきた横髪を留める。
「うんっ！ よしっ。バッチリ！」
姫が起きて仕舞わぬようにひっそりとした声で自分の姿を確認した後、再度姫の顔を覗き込む彼。
「ふふっ。よく眠ってる」
「昨日はお疲れだったのかな……？」
「なんだか、起こすのが勿体なくなっちゃう」
けれど生憎今日、姫にはこの後ご予定がある。騎士として、姫を起こす義務があるまひとくんは心を鬼にして愛らしい姫の頬に触れた。
男性とは違い、柔らかな肌。
もちもちといった擬音が似合う。
「ふふふっ、柔らか〜い」
まるで猫を撫でるように姫を可愛がっていれば、頬に違和感を覚えた主が眉間にシワを寄せ薄く目を開く。
「あ。起きた？」
「うんっ。今日はまひちゃんが起こしに来たよっ！」
「あははっ、……嬉しい？」
毎日日替わりで誰かが起こしに来る。今日の担当はまひとくんだったんだね。と確認するように呟く姫はまだ眠そうだ。
いつもしっかりしている姫が自分の前だけで隙を見せる姿が愛らしくて思わず笑みが零れてしまう。
「ねぇ、姫？」
「実はまだ起きる時間まで余裕があるんだよ？」
「眠たいでしょ？ 眠たいよね？」
「まひちゃんと一緒に2度寝しちゃおうよ」
「大丈夫っ！ 時間になったらちゃーんと起こすからっ！」
所謂添い寝と言うやつなのか。起こした身体を再び強制的にベッドに押し倒されてしまった。
「もう少しだけ、僕と一緒に眠っちゃお……？」
水色の騎士は一緒がお好き。
𝐍𝐞𝐱𝐭 ❥❥❥ ⚔️💛
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月14日 18時
