水中恋歌／ばぁう (ページ2)

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苺色夏花火ページ2

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「わぁ……、いっぱい……」

　近くである夏祭り。

　ばぁうくんが「浴衣でも着て行ってみる？」なんてお誘いを受けた彼女は1日レンタル出来る浴衣のレンタルショップへと予約をし、足を運んでいた。

「そりゃレンタルショップなんだから当たり前でしょ」
「あ、う、そうなんだけど……」

　ばぁうくんにド正論を返され言葉に詰まる彼女。けれどこんなに目の前に浴衣があるだなんて今までの経験上、試したことの無い彼女は少し心が踊っていた。

　そもそも和服なんて着る機会がないし、人生において数回しか着たことがない。

「それよりどれか好きなのあった？どれも似合いそうだけど」

　一通りぐるっと見て回った。どこの浴衣の前に行ってもキラキラと輝いた瞳の彼女を見て、ばぁうくんは改めて予約をしておいて良かったの思っている。

　こういう新鮮な反応をする彼女の事が好きだ。

「赤色の……、浴衣」
「赤？」
「うん。ばぁうくんの色だから」

　へらっと力なく笑う彼女。
　今から浴衣に着替えるのでなければ、その髪をぐちゃぐちゃにするくらいにはなでてしまっていただろう。

　そんな気持ちを堪えて先程いいなと思っていた浴衣の前へゆっくり歩を進める。

「このレースのやつとか結構好き。最近こういうのもあるんだね」
「似合う、かな？」
「似合うに決まってんじゃん」

　真顔で即答されてしまい、今度は彼女の心臓が早く動く。こういうサラッと言えるところがかっこよくて好き、なんて思っている。

　案外2人とも好きな人に嬉しい言葉を言われるとコロッと惚れ直しちゃうチョロいタイプだ。

「……ん、帯もセットになってんだ〜。ね、これ着てみてよ」
「うん」
「俺も着替えてくるから、終わったら入口の所に集合ね」

　分かったと上手に返事をした彼女は2階の試着室へと選んだ浴衣を持って向かう。

　久しぶりの外でのデートに少しワクワクしながら背を向けた彼女を見て、ばぁうくんも1階の試着室へと入った。