⋆꙳꒰ঌ🩷໒꒱·̩͙⋆ ページ7
「あ、あの、」
「なっ、なに!?」
突然話をかけられて勢いよく振り返る二人。同じ言葉をハモってしまった為、部屋に広がる大きな声がAには怒られているように感じた。
「あっ……、二人で話してる時にごめんなさい、」
「全然! 全然大丈夫!」
「本当に! 別にねー! ただの天気の話だったから! あははっ」
無理がありすぎる。
天気の話は無理がありすぎるよ、まひちゃん。
確かに天気の話でヒソヒソ話はしない。かなり強引な誤魔化し方だが、話の内容は気にしていなかったAは怒られていなかった事に対して安堵する。
「それで、……どうしたの?」
「その。……時間が……」
「あっ」
部屋の壁にかけられた時計を指さして今の時刻を知らせるA。時計の長いハリが『12』と書かれた部分に近くなっているのを見て慌て始めた。
「やばいやばいっっ! 急がないと……!!」
「まひちゃん早く着替えて……! 初日から遅刻しちゃうよ……っ!」
「あっ、……わ、私……、外に出るね、」
パタンと部屋の外に出たAは心臓を落ち着かせる。
朝から二人とも距離が近い……。
びっくりしちゃう……。
まひとくんの部屋以外静寂に包まれたこの家。彼の両親は幼い頃から家を空けることの方が多くて未だに顔を覚えてない。一人暮らしに近い状況下に少し下を向く。
「……、」
もしかしてまひとくん……、寂しかったから抱きしめたのかな……?
こんなにお家が静かなら、泣き声が響いちゃいそう。
悲しいが詰まったような家。それを悟らせるような事をまひとくんは絶対にしないから余計に。
余計に胸が苦しくなった。
なったが、別にまひとくんは人肌が恋しくなって抱きしめた訳ではなく、寝惚けて抱きついてしまったのだ。こうして日々起きていくズレによって恋とは遠ざかるばかりの関係。
Aをトリコにするには少々強引でなければいけないことにまだ気がついていない二人。
32人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
-??-(プロフ) - 投稿ありがとうございます!次回も楽しみにしてます! (6月9日 0時) (レス) @page10 id: f640630912 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Stellar | 作成日時:2023年6月1日 0時