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 右手の甲を大きくて白い手のひらが包み込む。その手で私を掴んだのは先程DMで話していたゆきむらさんだった。

 目の前のナンパしてきた若い男の子は「あ、あぁ〜、」なんで目を右に左にキョロキョロ。


「い、いえ! その道に迷ってたみたいだったので……! ご案内を!」
「道? なに、迷ってたの?」
「いえ……、全く……、」
「……」
「あっ、あぁ〜〜、見間違えですかね、はい! 見間違えです! すみません!!」


 ばっと勢いよく頭を下げて逃げるように去っていく。「やばいやばい、Knightの客だったッッ!」なんて言って行ってしまったのだがなにかあるのだろうか……? 確かにこの辺ホストが多いから店同士でナワバリとかはありそう。って、猫かよ。


「えっと……」
「なにしてんの、ほんと」
「ごめんなさい、あの。助けてくれてありがとうございます、」
「そんな大荷物持ってると他の連中にも目付けられやすいんだから気をつけろよ」


 一度話して連絡先なんかを交換してしまったりしたらひっきりなしに男の方から繋がりを求めてカモにされてしまうらしい。そんなのを全く知らなかった。これだけ目立ってれば確かに、「あのキャリーケース持ってる女、いけるよ」なんて裏で広められたらうっかりどこかで食われてしまうかもしれない。

 危なっ! ネオン街とっても危ないんだけど!


「ま、おれらのトコの客だって分かれば近づいてこないと思うけど」
「? それはなんでですか?」
「お礼参りがあるから」
「?? いいことなのでは??」
「相手絞めにいくって意味」
「え"っ!!?」


 そんな暴力的な感じなの!? そりゃああの男の子も初手で「げっ」なんて声あげちゃうよ!! 普通に怖い。シンプル恐怖なのだが。


 なんでも話を聞くとこの辺の地域でナンバーワンのホスト店がゆきむらさん達が働いている『One Knight』らしく、そこの客に手を出したら地に落とされてしまうらしい。野蛮すぎ。


「ま、今のオーナーがそれぞれの店のナンバーワン集めてきたんだからそうなるよね」
「え?」
「元は……、あ、しゆんさんは違うけど。今ナンバー貰ってるヤツらって全員スカウトで引き抜かれたんだよ。好条件と引き換えにね」
「こ、好条件?? それって、なん、」
「まだ。教えるか、ばーか」
「っじゃ、じゃあっ! しゆんさんはなんなんですかっ!」
「さ? 本人に教えてもらえば?」


 この人は全く……!! 勿体ぶりやがって……!!!!

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作者名:Stellar | 作成日時:2022年10月23日 12時

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