Day.15 配信後 ページ43
「じゃあお前早く寝ろよ。……おやすみ」
そう言い残して、マイクをオフにする。1曲分の曲が終わるまで止まないコメント欄。どうかすると終わってもコメントを残してくれるリスナーを見つめながら、オフラインにした後直ぐに画面を閉じた。
作業が残っている日ならこのまま続けて作業を始めるが、1時をすぎた今、やることは明日の朝にするとして今は眠りにつきたかった。
「……寝てるし」
ベットで横になっている彼女はちゃんとばぁうくんの場所を開けてすやすやと眠ってしまっている。彼女は今働いておらず、一日の大半をこの場所で過ごしているというのに規則正しい生活をしていた。そりゃあこの時間も寝てるわ。
彼女の横に寝転がったばぁうくんは彼女の頬に触れながら見つめていた。
「……ねぇ、ホントに寝ちゃった?……俺、まだ起きてるのに?」
「……」
傍にある彼女のスマホは真っ暗な画面。ばぁうくんが配信をしている間は絶対に物音を立てないでという言いつけを守るためにイヤホンが刺さったままのスマホで一体何を聞いていたんだろう。
配信は見なくていいと言っているため、多分それ以外なのだろう。かと言って彼女が好きなジャンルの歌なんてしらないし、YouTubeで見ると言ったら料理系の動画だろうか。そんなんで暇つぶしてんのかと思うと、多少申し訳なさもある。週に2、3回その夜を他の女に使うばぁうくんは彼女よりもリスナーを優先するのだ。
そんなのよく我慢出来てるよねと思いながらもちゃんと文句も言わずに待っている彼女がかわいい。
従順で、ばぁうくんだけにいい子で、可愛くて。自分だけのために感情を動かしている彼女がもし、ばぁうくんがいなくなったらどうなってしまうんだろう。
息が出来なくなるくらい苦しい?
明日の光すら見えないくらい真っ暗?
縋るものがなくなって。頼るものがなくなって。
「それでもさ、お前は俺の事求めてくれる?」
「……」
YESと口が動かない。寝ている彼女に言ったって返事が返ってこないことなんて知ってる。でも、こんなの寝てる時くらいにしか言えないから。
「俺は、求めてあげるよ。……お前がいなくなったら」
「……」
「勝手にいなくなったら殺すから。逃げたりなんかすんなよ」
リスナーには聞かせられない愛の言葉は、
お前にも聞かせてあげない。
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夜空(プロフ) - うわぁ、彼女ちゃんが可愛い…!!作者さまの書かれる彼女ちゃんとばぁうくん可愛いが過ぎます。どこまでも素直で、天然で可愛いばうカノちゃんが好きです…! (2022年6月17日 16時) (レス) @page13 id: 2ceb4af9d4 (このIDを非表示/違反報告)
なわわ(プロフ) - すごく楽しみです!頑張ってください! (2022年6月13日 21時) (レス) @page1 id: f08a93420d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Stellar | 作成日時:2022年6月13日 17時