Day.2 抱きしめる ページ5
カチャカチャと洗ったばかりの皿を重ねる。食事が終わった後、彼女は直ぐに皿を下げて洗い物に取り掛かっていた。
ばぁうくんに1番最初に褒めてもらったのは家事全般だ。元々『家事代行サービス』として彼の家に来た彼女は資格を持ったプロだったわけだが、それを褒められた事は1度もなかった。
仕事として当然の事だったから。
彼女よりも年数が上の先輩たちはやれて当然。ひとり暮らしのある程度稼いでいる人達よりも、共働きや赤ちゃんが産まれたばかりのお家なんかで役に立っている。どうしてもそちらばかりが『すごい』『えらい』と評価する世間で、新米の彼女の努力は霞むばかり。
そんな中、初めて1人で仕事をもらった家がばぁうくんの家だった。20代前半。大学を出たばかりの彼女が突然男の家に1人で来るものだから、ばぁうくんは「デリヘルなんて頼んでないけど」と追い払おうとしていた。なんとか説明を聞いてもらい勘違いだとわかった時、正直ばぁうくんはこんな若い子がプロなんてマジかよ。と半信半疑だったが、手際よく進める家事はどれをとっても素晴らしかった。
中でも料理は格別で、味や彩り、バランスも良ければ、ばぁうくんの指定した時間通りに毎回出来たての料理が運ばれていたのだ。
「今日も美味かったー」
「ばぁうくんにそう言って貰えて良かった……」
「肉じゃがの味付けめっちゃ好みかも。あ、でも魚のほうはもっと味薄くていい」
「うん、わかった」
夫がもしこんなことを忙しい妻に言ったのならば、八つ裂きにされるか恨まれるかの2択だろうが、彼女にとってはとても嬉しい事だった。
ばぁうくんの好みを覚えて、ばぁうくんの生活を支えられていると感じられて、生きてる意味みたいなものがそこにある。全身全霊でばぁうくんだけに捧げる彼女を見て彼の気分も最高に良い。
「！」
「あははっ、……抱きしめちゃった。……だめ？」
「ば、うくん」
「ダメなわけないよね。嬉しくて固まっちゃった？」
「濡れちゃうよ……？」
こういう時、1番に感情を言葉にして欲しいばぁうくん。「嬉しい」とか「うん」だとか肯定の言葉が帰ってくると思っていたのに拍子抜けだ。
はぁ……と深いため息をつきながら、彼女の左肩に顔を埋める。柔らかな髪が彼女の素肌を晒した首元に当たった時、ピクリと身体が動いたのをばぁうくんは見逃さなかった。
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夜空(プロフ) - うわぁ、彼女ちゃんが可愛い…！！作者さまの書かれる彼女ちゃんとばぁうくん可愛いが過ぎます。どこまでも素直で、天然で可愛いばうカノちゃんが好きです…！ (2022年6月17日 16時) (
レス) @page13 id: 2ceb4af9d4 (このIDを非表示/違反報告)
なわわ(プロフ) - すごく楽しみです！頑張ってください！ (2022年6月13日 21時) (レス) @page1 id: f08a93420d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Stellar | 作成日時：2022年6月13日 17時
