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◇ Ep.1 赤い屋根の家 ページ1

じゃあ、最初は僕から話すよ。ああいや、そんな怖がらなくていいよ。始めの方だから、あんまり怖くない話を選んできたし。あはは、それはそれで期待外れになっちゃうかな? まあ、気を楽にして聞いていいよ。

 あ、まあ確かに、人によって怖さは異なるよね。内容によっても変わってくるし。心霊とかって平気? よくある話だろうから、身構えないで聞けると思うんだけど……。

 そうそう、肝試しに行って見かけたって話。すごい暑苦しい夏だったんだよね。だからこそ肝試しなんかしたんだろうけど……少し動いただけで汗ばんじゃうから、あんまり動きたくなかったくらいだったよ。でも、僕は塾に行かなきゃいけなかったから、できるだけ早く帰ろうと急いで支度をしていたときに、同級生の芥屋優太(あくたやゆうた)に声をかけられたんだ。



「――曰くつきの空き家に行ってみようよ」

 芥見のその言葉にびっくりしたよ。いや、オカルト研究部の人に話を持ち掛けられるなら分かるんだけど、芥見はただのクラスメイトだったからさ。肝試しをしようなんて声をかけられるなんて思わなかったんだよ。とはいえ、時期も夏だったからね。いや、そう思わないと納得できないくらい、芥屋って肝試しの提案をしないような人間なんだよ。とにかく驚いて動けないでいると、後ろからひょっこり男子生徒がでてきたんだよ。そこでようやく、“肝試しの提案者はこっちか”って分かったよ。

「北の方に真っ赤な屋根の家があるだろ? そこに行ってみようぜ」

 芥屋と同じ、僕のクラスメイトである森清一郎(もりせいいちろう)が提案者だって気づいたよ。
 森の話を聞いたところによると、どうやらその空き家には、本当に女性が殺害された事件があるらしくてね。意外だったよ、森が噂に耳を傾けるなんて。
 森は調子がいいから意味もなく夜中に墓地に行くようなヤツだったけどね、別に噂を聞いて行くようなタイプじゃないんだ。オカルト部にいないんだから当たり前だよね。噂を聞いてから真相を確かめる僕たちとは違うんだ。そういう点では、森にも驚いたよ。

 ああ、もちろん詳しく話を聞いてみたよ。……たしか、女性を殺害したのはその女性の実の息子だったらしいよ。

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作者名: | 作成日時:2022年8月28日 21時

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