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『はぁ…はぁ……皆さん、さすがですね。』
「……5人抜きした奴に言われたくねぇな。」
『あはは…善法寺さんはやらなくて良かったんですか?』
「ぼくが倒れたら、誰か君らの世話をすると思ってるの。」
「世話になるぞ、伊作。」
見事に地面に大の字なって倒れる6人。それを見て善法寺さんは頬を膨らましながら、一人一人の怪我の具合を見ている。
『あ、立花さん。これ返しますね。』
「そのクナイ、仙蔵のだったのか。…っておい。なんだその焙烙火矢…!」
「武器なしではさすがに不公平だと思ったからな。焙烙火矢はもしもの時のためだ。制御が効かなくなった小平太は面倒くさい。」
『結局使いませんでしたけどね。』
「……それはAにあげよう。」
『え?』
「今日みたいに誰かに襲われた時、武器がないと不便だろう。」
地面に座って爽やかに笑う立花さん。その言葉を聞いて、他の6年生は驚いているようだ。かくいう私もその言葉の危険性に気づいて、耳を疑った。
「仙蔵、お前…」
『……いいんですか?私にこんなものを渡して。』
「最初こそ、それなりに警戒もしていたがな。今となってはそれも必要ないだろう。」
「仙蔵からそんな言葉が聞けるとは。」
「なんか変なものでも食ったのかー?」
「まぁ、Aがわたしたちに危害を加えようとしたらその時はその時だ。」
『後悔しても知りませんよ?』
「ははは!そんなことがないように願っておくさ。」
私が挑発するように言うと、愉快そうに立花さんは笑う。周りを見ると他の6年生も笑っていた。
こういう時の人間は、本当に分からない。私を信用する要素がどこにある?いや…本当は信用していなくて、この武器に何か仕込んでいるのか。
「……この学園を守りたい…それが君の欲望なんだろう?」
『あぁ、そんなことも言いましたね。』
「Aさんが嘘をついていたのか、いなかったのか分からないけど、ぼくたちはぼくたちが感じた方を信じている。」
『……そうですか。』
6年生なら、危機管理能力もちゃんとしていて大人な考えができると思ってたんだけどな…でも、悪い気がしないのは何故だろう……
私は、手の中のクナイを見つめて少し微笑んだ。
「よし!それじゃあ、皆!治療するから医務室に来てね!」
「うっ……痛いのはやめてくれよ?」
『お手数おかけします。』
「はーい、大人しく着いてきてくださーい。」
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櫻井あよ(プロフ) - すずはさん» 私は、Kという名前です。フォローよろしくお願いします〜、 (3月28日 16時) (レス) id: e8ac715e1d (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - Megumiさん» コメントありがとうございます。こちらからDMの方送らせていただきました。確認お願いいたします。 (3月27日 15時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - 櫻井あよさん» コメントありがとうございます。よろしければ、Twitter登録名を教えていただけると幸いです。アカウントが確認でき次第、フォローさせていただきます。 (3月27日 15時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
Megumi(プロフ) - Twitterの方フォローさせていただきましたMegumiと申します。パスワードを教えていただきたいです!よろしくお願いします (3月27日 12時) (レス) @page50 id: 2b7b46d822 (このIDを非表示/違反報告)
櫻井あよ(プロフ) - Twitterの方をフォローしました、DMを送りたいのでフォローして欲しいです。 (3月26日 12時) (レス) id: e8ac715e1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すずは | 作成日時:2022年9月14日 12時