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「可能性はなくはない……」(モソッ
「長次まで…!」
「落ち着け伊作。可能性の話だ。」
「でも…それでも……」
『大丈夫ですよ。』
握りしめていた善法寺さんの拳を私は自分の手で優しく包み込んだ。
今にも泣き出しそうだった善法寺さんは顔を上げて、私を見る。
『クロハツ城が村に攻め込んできたあの日から、私は覚悟を決めています。どんなことがあっても、それは自分の判断の末の結果です。』
「それは僕たちも一緒なんじゃない?」
『え?』
私と善法寺さんが見つめ合っていると、横からひょこっと喜八郎が顔を出した。今まで何も言わずに見ていたのに、いきなり口を開いたので私は驚いた。
「綾部喜八郎の言う通りじゃ。おぬしを匿うと決めたあの日から覚悟はできておる。」
「学園長先生だけじゃない。生徒も先生も覚悟を決めてる。」
「だから、誰もAを追い出さないのだ。」(モソッ
「皆、Aが守ってくれているのを知ってるんだよ。君こそ学園の恩人なんだ。」
「あぁ、君が感じていることはわたしたちも感じている。全てが全て違うとは限らない。」
……まるで、見透かされたようだった。
私の気持ちと行動が矛盾しており、2転3転と意見が変わっている理由を…
「……最初に言ったじゃろう?わしがここにおぬしを置くと決めたのは下心があったからじゃ。あわよくば、天女の恩恵を受けようと思ってな。」
「恩恵ならもう十分受けていますね。」
「そうじゃな。」
しかし、いつかはここを出ていかなければいけない。そういえば、前にもこんな話をした時に宿題を出されたような…なんだったっけ?
『どうしても私を引き止めたいようですね。』
「もちろんじゃ。」
『……分かりました。ですが、本当に出て行かなければならなくなった時…何も言わずに行かせてください。』
「それは…」
『お願いします。』
「……分かった。約束しよう。」
『ありがとうございます。それでは、その時が来るまで…用心棒として頑張ります。』
私はもらった弓矢を握って微笑んだ。皆は微妙な顔をしているが、1人だけ何も気にせずに私の手を引っ張る。
「もう話は終わりましたよね?続き掘ってもいいですか?」
「おい、綾部!穴掘りもほどほどに…」
「失礼しま〜す。」
『うわぁっ!?』
私はそのまま穴の中へ引きずり込まれた。
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櫻井あよ(プロフ) - すずはさん» 私は、Kという名前です。フォローよろしくお願いします〜、 (3月28日 16時) (レス) id: e8ac715e1d (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - Megumiさん» コメントありがとうございます。こちらからDMの方送らせていただきました。確認お願いいたします。 (3月27日 15時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
すずは(プロフ) - 櫻井あよさん» コメントありがとうございます。よろしければ、Twitter登録名を教えていただけると幸いです。アカウントが確認でき次第、フォローさせていただきます。 (3月27日 15時) (レス) id: 2f649bb5f7 (このIDを非表示/違反報告)
Megumi(プロフ) - Twitterの方フォローさせていただきましたMegumiと申します。パスワードを教えていただきたいです!よろしくお願いします (3月27日 12時) (レス) @page50 id: 2b7b46d822 (このIDを非表示/違反報告)
櫻井あよ(プロフ) - Twitterの方をフォローしました、DMを送りたいのでフォローして欲しいです。 (3月26日 12時) (レス) id: e8ac715e1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すずは | 作成日時:2022年9月14日 12時