神様たちは地上を望む〈kamuitale〉 (ページ19)

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封じてほしいのならページ19

今日も地下は平和である。

ここ以外の平行世界がどうだかは知らないが。

それらが存在しているのを知る者は少ないであろう。

今この場に立つ二人のようにいる可能性は否定できないが。

リムス「君に言いたいことがあるからしっかり聞いて、虚言癖」

デクノワール「いいけれど、虚言を言ったつもりはないのだよ？」

リムス「貴方の記憶を見たらどうも霞がかかる。

　 …この世界じゃない所から来たんだろう？」

彼女はすべての生物の記憶を保持する。しかしこの世界のものだけである。

だから探し物はいまだ見つからず、いや、もう会えはしない。

デクノワール「…わかってる、それが罪なんて。でもほっときたくはなくて。」

リムス「君の好きなようにどうぞ。もし望むならみんなの記憶から君を消すこともできる。

　でも、隠し通すってんならどうぞご自由に」

デクノワール「意外だね、見逃してくれるのか」

リムス「違う、これは忠告だ。やさしさで身を滅ぼしたものをボクは知ってる。

　君もそうなりたいなら、止めることはできないな。

　ボクが探している人のことなんだけどね」

そういって彼女は無表情を少しだけ崩した。そっと涙を流して。

デクノワール「…、」

リムス「ボクの兄弟…姉か兄かわかんないけど、アプリコットはね、ボクのために死んだんだよ。

　そして今はもうほかの世界で生きている。

　ボクと対極の…悪魔となり果てて。」

これを伝えたのは彼が初めてだ。初めて伝えた弱さは、いつか記憶の海に埋もれるのだろうか。

少なくとも、このゲームデータには刻まれた。

この記憶媒体(メモリィ)には。