ブルーとオレンジ (in×ar)

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伊野尾side





初めて目があった

喜びは表に出さず、心の中だけで。







有「あ…っと」






彼は少し目を泳がせながら俺を見た

名前、わからないんだよね







伊「伊野尾って言います。
　
　 有岡、さんですよね？」







彼はどこか遠くを見つめながら何か思っている

そしてまたこちらを見ると軽く会釈をしながら








有「どうも…」


伊「なんか、悩んでますか？」




有「え？」








あ、

やってしまった…


なんでいきなり相談して、みたいな事言ってんの



絶対引かれてるじゃん…




どうにか言い訳を考えて、









伊「いや、何かあるといつもビール持ってベランダにいるなって…」








彼は少し俯いて笑った

その笑顔にまたトキメク。


乙女かっつーの…








有「ちょっと、大学の課題が多くて…」



伊「あぁ、大学の課題ってきついですよね」









「大変だったなぁ」なんて大学のことを思い出して独り言のように呟いた

俺も毎日死ぬかと思ったもん








有「伊野尾さんってなんの仕事なさってるんですか？」


伊「建築関係の仕事です、まだまだですけど」





有「そうなんですか、」









彼はまた遠くを見つめた

俺のこと、どう思ってんだろ…




有岡さんのこと何も知らない。








伊「有岡さんってなんの学科なんですか？」

有「えっと、哲学のほうを簡単にやってて…」




伊「すごい…」








哲学、か。

哲学ってあれだよね、


何故、人は生きているとかそう言う事でしょ？







じゃあ、本とかって読むのかな？







さっきから有岡さんのことで頭がいっぱい









.

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