ブルーとオレンジ (in×ar)

月が綺麗ですね ページ38

有岡side






有「ハァ…」







ボロアパートといったら失礼かもしれないけど、

一応我が家に帰ってきた




あのクソ教授…

こんな量の課題を明日までって…






ため息が零れて、イライラして。

そんな気を紛らわすために缶ビールを冷蔵庫からとった








プシュッと音を立ててあいたビールを喉に通す

ほろ苦くて美味しい、何もかも忘れられる味









ベランダにでて風にあたろう

これが1番気持ちいい









ベランダから見える騒がしいほど明るい街を見ていた

東京に住めるほどお金持ちなわけじゃない




そんなお金があったら缶ビールなんて飲まないし、

一回でいいから高い高級なワインを飲んでみたい…









「お一人ですか？」






隣から鼻にかかるような独特な声

簡単な仕切りの向こうには月明かりで照らされた綺麗な顔






待って、

お隣さんってこんな美人な人だったの…？







有「あ、っと…」


伊「伊野尾って言います。

　 有岡、さんですよね？」









伊野尾さん…

そうだ、思い出した




挨拶にいったけど留守だった人だ

あの後も挨拶はしないままだったっけ…









有「どうも…」


伊「なんか、悩んでますか？」



有「え？」


伊「いや、何かあるといつもビール持ってベランダにいるなって…」









伊野尾さんは微笑みながらそう言った

知られてたなんて…






なんかすごく恥ずかしい、じゃん…







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