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「おはよう、眠り姫」
パチっと目を覚ますとそこにいたのは夢で見たお顔と同じ、クロキ君がいた。
三年間も眠っていたのに、私は今日もたくさん眠ってしまったみたい。
外はすっかり日が上っていて、太陽の陽が眩しい。
「寝顔…見た？」
一つ気になったそれを恐る恐る訊くと、クロキ君は艶やかな笑みを浮かべる。
「いや、来たばっかりだよ」
恍惚と目を奪われてしまいそうになりながら、ホッと安堵の息を吐く。
だって、寝顔を見られるって恥ずかしいもの。
「すごく幸せな夢を見ていたの」
窓の外に目を向けながら、クロキ君に話しかけた。
桜の木も私に応えるように、そっと枝を風で揺らす。
桜の匂いが近づいた気がした。
「へぇ…どんな夢？」
その声に、夢の中に広がっていた光景を再び引っ張ってくる。
ゆっくりと、思い出をなぞって、噛み締めるように呟いた。
「秀明の後なのかな、友達に囲まれて一緒に帰ろうとしていたの」
「それは…友達は女子だったの？」
ふるふると首を横に振る。
否定の意だ。
クロキ君の目に一瞬固い光が瞬いていたことに私は気がつかなかった。
「ううん、男の子達。私も合わせて七人だったな」
クロキ君もいたんだよ、と思わず笑みが浮かぶ。
幸せな気分だったの。
胸の中が温かくて心地よかった。
「その夢、不思議だな。
秀明でつるむような仲間はアーヤぐらいだったから」
クロキ君は目を伏せて軽い調子で言った。
夢とはいえど期待が外れたようで私の心はがっくりと項垂れる。
「アーヤと出会ったのも中学上がってからだよ」
彼の口から漏れる一つ一つの言葉。
どれも綺麗で、澄んでいて、でもどこか空っぽだった。
その違和感が意味するものを知れる日は来るのだろうか。
胸をざわつかせる靄が苦しくて、思わず俯いてしまったの。
シワ一つないはずの真っ白なシーツも歪んでいる。
そんな私の顔も歪んでいたのかもしれない。
クロキ君がうっすらと微笑んで、私の頭を撫でた。
なんだか歳の離れたお兄ちゃんみたい…
「そんな不安そうな顔するなよ。
幸せな夢、また見たら教えて」
触れている頭が熱い。
意図せず頬が緩んでしまうくらい、固まった気持ちがほぐされて。
なのに、胸がバクバクと音を立てて鼓動していた。
窓の外に聳え立つ桜の木が枝を揺らして、ベッドに影をつくった。
枝にはまだ、ツボミだけ。
春は始まったばかり。
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小町(プロフ) - 秘月さん» ルア〜！！ありがとう！そんなに好きでいてもらえて嬉しい！占ツクやめた後もTwitterの方で二次創作していくから見つけてね笑 (5月19日 21時) (
レス) id: 4e259400e5 (このIDを非表示/違反報告)
秘月(プロフ) - こっちゃんの引退、めちゃくちゃ寂しいです、、1年くらい前にこっちゃんに会って、お話のアドバイスもくれたり（笑）して、とても嬉しかったよ〜〜！！こっちゃんのお話のスタイルとても好きなのでこれからも過去のお話も読み続けます。またお話しようね。 (5月13日 1時) (レス) @page5 id: 269ba6d569 (このIDを非表示/違反報告)
小町(プロフ) - 読者さん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉もありがとうございます！私も寂しくないと言ったら嘘になってしまうのですがそのようなことを言っていただけて、ここで活動してきてよかったなと改めて思いました(^^)完結まで見守って頂けたら幸いです！ (5月12日 21時) (レス) id: a89f3eeedf (このIDを非表示/違反報告)
読者 - 引退してしまうのは…すごく、さびしいですが…。私は、小町さんの作品が大好きです！それは、小町さんが引退されても変わりません!!投稿頑張ってください！ (5月11日 18時) (レス) id: bd229e453e (このIDを非表示/違反報告)
小町(プロフ) - あき@草売り大魔王さん» 憧れのあきさんからお褒めの言葉を頂けてとても嬉しいです…！その上いつも読んでくださってたなんて…！！ありがとうございます！引退は少し寂しいような気もしますが、いい作品にできるように頑張ります！ (2023年5月6日 13時) (レス) id: a89f3eeedf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小町 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hopwe021/
作成日時：2023年5月5日 8時
