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「それはそうとして今回の事故に関する話ですが、」
医師がふっと空気を変えるように声のトーンを上げた。
自然と意識が切り替わる。
病気があることへのショックが薄れたわけではないけれど、事故という単語が出てくると体が固くなる。
あまり悪い話じゃないといいな。
「立花さんは三年前、ちょうど今ぐらいの桜が開花した時期に交通事故に遭いました」
桜の匂いがふっと強くなった気がした。
「信号無視をした大型のトラックに撥ねられています。
頭部外傷、そして逆行性健忘です。
事故の衝撃によって立花さんは事故の数ヶ月前からの記憶がなくなっています」
幸い脳挫傷や後遺症は免れています。
医師は何を考えているのかわからないような表情で淡々とそう続けた。
.
診察室から病室に戻ると疲れがどっと押し寄せてきたからか、倒れるように眠りについたことまでは覚えている。
だから、今見ているこの景色はきっと夢の中なのだろう。
夢じゃなかったら、自分を俯瞰して見ている状況はあり得ないもの。
私が俯瞰して見ているその視線の先には、秀明バッグを提げた私の姿だった。
記憶にあるそのままの私の姿＿＿＿今の入院中に背中まで伸びた髪でも少し痩せた体型でもなくて。
懐かしい気持ちで目を細めていると、そこに現れたのは六人ほどの男の子達。
真っ暗な空の下でも、彼らはキラキラして見える。
「アーヤ、送るよ」
一人の男子がそう言った。
ああ、覚えてる。
彼らの名前も性格も何も分からないけれど、きっとみんなは私にとって大切な存在だったんだ。
この景色、この言葉、薄らとでも全部私に残ってた。
私は記憶を一部失ってしまったけれど、焦がれてしまいそうなほどの過去の眩しさがそこで光っていた。
そのことに気づいたら、泣きそうなくらい嬉しかった。
私の過去は、未来は、景色は、何も全てセピア色なわけじゃない。
「え、いいよ…！」
「夜道は危ないから送らせて、お姫様」
「ちょっ………＊＊君！！」
一瞬だけ、聞き取れない言葉が混じった。
でも、これは夢なんだから、少しくらい可笑しいところがあったって変ではない。
例え夢でも、そこに病室にいた姿と同じクロキ君がいたことに思わず頬が緩んだんだ。
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小町(プロフ) - 秘月さん» ルア〜！！ありがとう！そんなに好きでいてもらえて嬉しい！占ツクやめた後もTwitterの方で二次創作していくから見つけてね笑 (5月19日 21時) (
レス) id: 4e259400e5 (このIDを非表示/違反報告)
秘月(プロフ) - こっちゃんの引退、めちゃくちゃ寂しいです、、1年くらい前にこっちゃんに会って、お話のアドバイスもくれたり（笑）して、とても嬉しかったよ〜〜！！こっちゃんのお話のスタイルとても好きなのでこれからも過去のお話も読み続けます。またお話しようね。 (5月13日 1時) (レス) @page5 id: 269ba6d569 (このIDを非表示/違反報告)
小町(プロフ) - 読者さん» コメントありがとうございます。嬉しいお言葉もありがとうございます！私も寂しくないと言ったら嘘になってしまうのですがそのようなことを言っていただけて、ここで活動してきてよかったなと改めて思いました(^^)完結まで見守って頂けたら幸いです！ (5月12日 21時) (レス) id: a89f3eeedf (このIDを非表示/違反報告)
読者 - 引退してしまうのは…すごく、さびしいですが…。私は、小町さんの作品が大好きです！それは、小町さんが引退されても変わりません!!投稿頑張ってください！ (5月11日 18時) (レス) id: bd229e453e (このIDを非表示/違反報告)
小町(プロフ) - あき@草売り大魔王さん» 憧れのあきさんからお褒めの言葉を頂けてとても嬉しいです…！その上いつも読んでくださってたなんて…！！ありがとうございます！引退は少し寂しいような気もしますが、いい作品にできるように頑張ります！ (2023年5月6日 13時) (レス) id: a89f3eeedf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小町 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hopwe021/
作成日時：2023年5月5日 8時
