Hope In The Darkness IV

# ページ45

一方的に佐久間を迎えに来いと言ってきたと思えば、何かを見透かしたかのように仲間になれと言い出す。意味がわからない。馬鹿どころではない。


そもそも彼等と仲間になって何のメリットがある。確かに金は稼げるかもしれない。でもそれだけだ。佐久間を守れる保証なんて何処にもない。
＿＿仲間なんていらない……そうか、だったら。


ab「……いいよ」
dt「お、」
nb「え、」
iw「マジで?」
fk「マジで!?」


＿＿仲間じゃない、手駒にすればいい。
そうだ、彼等は佐久間を守るための捨て駒だ。


ab「いいよ、仲間になるよ」
fk「マジで? ほんとにいいの!?」
ab「ただしッ」


浮かれた深澤に釘を刺すために阿部は大声を出した。


ab「……こいつには変な事するなよ」
fk「いや、する訳ないだ」
ab「こいつに!!」


言葉を遮ったのを見て、深澤は阿部が佐久間にかける思いを察した。
果たして阿部が本当に自分達を信じたのかはわからない＿＿いや、きっと信じていない。だとしても、こちらから信頼しなければきっと何も始まらない。


ab「……佐久間に手出したらぶっ殺すからな」


その瞳から警戒を、疑心を、孤独を消すために、出来る事はなんでもしてやりたい。
岩本達も思う事は同じはずだ。深澤は彼等の表情を見て確信した。


fk「出す訳ねえだろ、仲間だぞ?」
ab「……そうだね」


阿部は深澤達の想いなど露知らず、佐久間を守るために四人をどう利用するかだけを考えていた。
そんな企みは、四人が佐久間を心から大切にしているのを見ているうちに消えたらしいが。






ab「……何してんの」
fk「うお、阿部ちゃん」
ru「阿部ちゃんじゃん!!」
ab「え、何? え?」


懐古している所に現れた阿部を見て三人は必要以上にリアクションした。勿論阿部はその理由が分からない。


ab「どうしたのマジで」
fk「思い出話してた」
sk「俺達が拾われた話」
ab「あぁ……また懐かしい話を」
ru「なんか、運命って感じだったんだね」
ab「ははっ、そうなのかな」


阿部は微笑みを湛えると、何かを言おうとして口を開いた。しかしそれはすぐに閉じられる。


fk「え、何か言おうとした?」
ab「いや……何でもない」
fk「何だよ気になるな」
ab「……何でもない、うるせえ黙れ」
fk「はあ!? 急に!?」
sk「あっはは!! やーばっ」


佐久間にはわかった。阿部が言おうとした言葉が何か。
わかってて知らないフリをした。あの日、それは本人には言わないと二人で決めたのだから。

終わり ログインすれば
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