Texas hold'em ページ30
薄暗いバーカウンターで、渡辺は一人の女と酒を飲んでいた。
相手は派手な化粧に身なりの良い中年の女性。要するに成金である。
nb「……で? あれは持ってきてくれたの?」
渡辺が問うと、女はまた趣味の悪い鞄から黒い封筒を取り出した。とあるクラブの奥で開かれているという、VIP専用の裏カジノの招待状である。
中を見て6人分の用意があることを確認し、渡辺はそれを懐に入れた。
nb「よし……ありがとう、流石」
渡辺は微笑みながら女を優しく抱き締めた。その後酒を煽り、恍惚の表情を浮かべる女の頬に手を添えて深く口づける。
口移しで飲まされた酒の中に錠剤が含まれている事に、彼女は気づいていない。
nb「ちょっとトイレ行ってくる」
唇を離した渡辺は名残惜しそうに彼女の唇を撫でて席を立った。
それっきり、彼女の前に彼が戻ってくる事は無かった。
iw「……お疲れ。あれは?」
nb「ちゃんと仕入れてきた……あー気持ち悪かった」
iw「ふはっ、そんなに好みじゃなかったのか」
nb「全然良くない。相性最悪だし、マジで抱くの苦痛だったんだけど」
裏口から抜け出して岩本が待つ車に戻った渡辺は、車に乗るやいなや止めどなく愚痴を溢れさせた。
この招待状を手に入れるために、この日のためだけにあの女を口説き落とし、何度も体を重ねたのだ。
nb「マジで今回の俺の取り分多くしてもらわねえとやってらんねえマジで」
iw「それは阿部に言え」
さて、今回の依頼はとある裏カジノを潰す事である。
と言っても警察の依頼なんかではない。裏カジノを運営していた組織が必要なくなったそこを処分するために依頼をした。
何者かによって潰された事にした方が組織の中でも穏便に済ませることができる、とか何とか言う理屈だった。まあ、その辺は「Team S」にはどうでも良い。
今回の依頼を受けて、普段なら待機に回る阿部も現場に乗り込むと言い出した。
iw「なんでお前まで」
ab「えーだって金巻き上げたくない? 大儲けする大チャンスじゃない!?」
fk「いやいや、カジノ潰した後なら隠し金いくらでも奪えるんじゃね?」
ab「でも一般客の金は巻き上げられないじゃん」
nb「そこも狙うのか」
ab「当たり前だろ」
sk「さっすが阿部ちゃーん!!」
dt「流石亡者」
ab「ん? 舘さん何か言った?」
dt「いや?」
こうして阿部が乗り込む事になったので、だったら俺も、と深澤も乗り込むと言い出した。
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長谷川遥香(プロフ) - 完結したけど続きでリクエストバージョンも見たいです！ (2022年1月3日 21時) (
レス) id: 3679b26edd (このIDを非表示/違反報告)
雷(プロフ) - ものすごくおもしろくて、一気読みもしたのに誤って低評価を押してしまいました…！本当は心からの高評価です、おもしろかったです！嫌な気持ちにさせてしまったらすみません…！ (2020年10月14日 22時) (レス) id: 02bdc07e91 (このIDを非表示/違反報告)
kjars8888888(プロフ) - やっぱアジさんの裏稼業が最高だな！！ (2020年9月21日 23時) (レス) id: 55f2f63f60 (このIDを非表示/違反報告)
mgrwtnb(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2020年9月17日 20時) (レス) id: 1e6ed00ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白く、更新を毎日楽しみにしていました。これからも応援してます！ (2020年9月15日 22時) (レス) id: afba355943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年8月29日 15時
