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渡辺と宮舘が見舞いに来た時の話題は、宮舘の家族の事だった。
nb「ねえ、」
dt「ん?」
nb「なんで今更親父さんに会いに行ったの」
それは深澤も抱えていた疑問だった。宮舘はしばらく黙った後に答えた。
dt「……なんとなく、としか言い様がない」
nb「なんだよそれ」
dt「だって、ラウールの家族が亡くなって、みんな家族がいなくなっちゃったって思ったら、そういえば俺にはまだいるなって思って、それで」
nb「……なんとなくだな」
dt「言ったじゃん」
深澤が聞いているとは露知らず、二人の会話は続いていく。
nb「元気だった?」
dt「うん」
nb「……よかった」
dt「……面白かったよ」
nb「え、何が?」
急に話の流れが分からなくなって、深澤も内心きょとんとした。
dt「父親が父親らしくしようとしてるの、面白かった」
nb「……嬉しかった、じゃなくて?」
dt「最初はそう思ったけど、よく考えたら違った」
深澤は渡辺と共に宮舘の話に耳を傾けた。
dt「今更父親面されたんだよ、俺達の人生台無しにしておいて」
nb「いや、でも」
dt「冷静に考えたらそもそもあの人が仕事を受けなきゃよかったのに」
nb「……結局俺の親は殺されてたって」
dt「わかんないよ、少なくとももう少し長くは生きられたはずだろ」
珍しく宮舘が饒舌なのを聞いて彼の怒りを察する。
dt「父親面されてわかった……あんなの父親じゃない、家族じゃない。会いに行ったのが馬鹿馬鹿しくなった」
nb「涼太、」
dt「やっぱり、俺の家族はここに居る」
宮舘の一言で深澤は目を開けそうになったが必死に抑えた。瞼が動いた気がしたが、二人にはばれていないようだ。
nb「……そういえば俺、考えてたんだけど」
dt「何を」
nb「こいつなんで俺達を仲間にしたのかなって」
深澤は渡辺の発言でどきっとした。
言えない。直感的に二人を仲間にしたいと、共に生きたいと思っただけなんて、言えない。
nb「もしかして、家族みたいな存在が欲しかったのかなって……思った、んだよね」
恥ずかしいのか、言葉に詰まりながら話す渡辺の言葉で深澤ははっとした。自他共に認めるお人好しはそこに起因する気がして。
阿部も佐久間も、向井も目黒もラウールも、渡辺も宮舘も、岩本も。ただ辛そうだから助けたのではなくて、そういう事なのか?
＿＿でも結局、ただの俺のエゴだよな?
霧がかった深澤の心に、果たして二人の言葉は届いたのか。
dt「だとしたら……家族になれて俺は嬉しいよ」
nb「……だな」
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長谷川遥香(プロフ) - 完結したけど続きでリクエストバージョンも見たいです！ (2022年1月3日 21時) (
レス) id: 3679b26edd (このIDを非表示/違反報告)
雷(プロフ) - ものすごくおもしろくて、一気読みもしたのに誤って低評価を押してしまいました…！本当は心からの高評価です、おもしろかったです！嫌な気持ちにさせてしまったらすみません…！ (2020年10月14日 22時) (レス) id: 02bdc07e91 (このIDを非表示/違反報告)
kjars8888888(プロフ) - やっぱアジさんの裏稼業が最高だな！！ (2020年9月21日 23時) (レス) id: 55f2f63f60 (このIDを非表示/違反報告)
mgrwtnb(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2020年9月17日 20時) (レス) id: 1e6ed00ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白く、更新を毎日楽しみにしていました。これからも応援してます！ (2020年9月15日 22時) (レス) id: afba355943 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：怜
| 作成日時：2020年8月29日 15時
