Hope In The Darkness IV

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Jackが暴れる一方でKingは冷静に敵を撃ち抜き続けた。Jackにとって不利である、銃を持つ相手を優先的に狙い、その後他の敵もしっかり片付けた。
多少訓練は積んでいたとはいえ、Kingが実戦で銃を扱うのは久しぶりだ。それでも彼は的確に相手を仕留めた。
当然である。元来の手腕に加え、彼が使っている銃はこの街で最も強いガンマンのものなのだから。


しかし、いくら冷静であるからといって彼が怒りを感じていないかと言われれば、全くもってそうではない。


nb「お前だってブチギレてるだろ」
dt「当然でしょ?」


温厚な彼だって怒りの感情は湧く。なんなら背後の相棒より強い憤りを感じている。
あの男のせいで自分の家族はバラバラになった。大切な幼馴染をこれでもかと傷つけた。孤独になった彼は十分すぎる程身を削る事になった。
そして長い時を経て、彼が今、苦しんでいる。






お前が俺達に突拍子もない提案をしなければ、俺達は今頃とんでもない地獄を見ていたかもしれない。二人ぼっちじゃ、とっくの昔に死んでいたかもしれない。
でも、お前が俺達を拾ってくれた事で俺達はここまで生きていけてる。楽しいとか、嬉しいとか、そういう感情も持ててる。少なくとも、俺はそう思ってる。
なのに、お前は今何をしてる? 無謀な作戦で死にに行ってるだろ? 可愛い弟達に生きろと言った人間が見せる行動がそれか?
ふざけるな、人に言う前にお前だって生き続けろ……!!






nb「……King」
dt「何?」
nb「相当頭に来てんのな」


Jackの声で辺りを見回すと、赤く汚れた一帯に人間だったものがごろごろ転がっていた。よく見ると、無意識のうちに一人に二、三発撃ち込んでいたらしい。


nb「なんなら途中から相手もびびってたぞ」
dt「……冷静に」
nb「ほんとだよ」


その気高い志と圧倒的な力で場を支配する王様は、どうやら自分の理性までもを闘争心に支配させてしまったらしい。自分の体にも傷が付いているのには今気づいた。
冷静にと言った自分が、らしくない。マスクの下でKingは苦笑した。






dt「仕方ない、悪いのは全部「あいつ」だ」

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