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Old tale ページ40

いつもの日常が戻ってきたある日、リビングで二人になったタイミングで佐久間は深澤に尋ねた。


sk「ねーふっか」
fk「んあ? 何?」
sk「なんで阿部ちゃんと俺を拾ったの?」


深澤が眠っていた時に阿部がその答えを導き出したが、それでも本人の口から聞いてみたかった。どうせはぐらかされるような気もするが、その時はその時だ。


fk「……なあんでだっけなあ」
sk「阿部ちゃんが凄かったから」
fk「それはある」
sk「俺が強かったから」
fk「それもある」
sk「すげえ、普通に認めた」
fk「え、だめ?」
sk「いや、それはないって言われると思ってたから」


二人ソファに並び、佐久間はオレンジジュースを飲みながら、深澤は煙草を吸いながら。その視線が交わる事は無い。


fk「だって強いじゃんお前、阿部ちゃんだってめちゃくちゃすげえし」
sk「何急に。やめてよ恥ずかしい……そんなキャラじゃねえじゃんお前」
fk「いや、なんか……たまには素直に褒めるも大事かなって」
sk「んはは、何それ」
ru「……何してるの?」
fk「お、ラウール」


地下に降りてきたラウールが二人に話しかけた。深澤は煙草を揉み消すと、ラウールに事の顛末を話してやる。


ru「……何それ。その話めっちゃ聞きたい」
sk「そんな面白い話でもないよ?」
ru「聞ーきーたーい!」
fk「ははっ、そこまで言われたら話すしかねえかなあ」


ラウールと話しながら、深澤と佐久間の脳裏には同じ日の同じ光景が過ぎる。


sk「ってか……あの時はごめんね、」
fk「いや……今思えば、お前が仕掛けて来たから拾えたんだし」
sk「そうかもしれないけどさ」
fk「何、引きずってんの?」
sk「そうじゃないけど……思い出したらなんか申し訳なくなってきた」
fk「今更? ウケるわ」
sk「……今の無かった事にする、すげえムカつく」
fk「はははっ、」


険しい顔をして見せる佐久間を横目に深澤は笑っていた。
二人だけで楽しそうにするので、ラウールはすっかり頬を膨らませる。


ru「ねーえ、聞かせてよお」
fk「わかったって……しっかし、懐かしいなあ」


脳裏に流れていた光景が、ゆっくりと色づき始めた。

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作品ジャンル:タレント
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長谷川遥香(プロフ) - 完結したけど続きでリクエストバージョンも見たいです! (2022年1月3日 21時) (レス) id: 3679b26edd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ものすごくおもしろくて、一気読みもしたのに誤って低評価を押してしまいました…!本当は心からの高評価です、おもしろかったです!嫌な気持ちにさせてしまったらすみません…! (2020年10月14日 22時) (レス) id: 02bdc07e91 (このIDを非表示/違反報告)
kjars8888888(プロフ) - やっぱアジさんの裏稼業が最高だな!! (2020年9月21日 23時) (レス) id: 55f2f63f60 (このIDを非表示/違反報告)
mgrwtnb(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後まで涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2020年9月17日 20時) (レス) id: 1e6ed00ec9 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白く、更新を毎日楽しみにしていました。これからも応援してます! (2020年9月15日 22時) (レス) id: afba355943 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年8月29日 15時

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