Hope In The Darkness Ⅲ (ページ25)

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深澤が帰宅する頃には夜が明けつつあった。岩本達は既に帰宅しており、ラウールは再び眠りについていた。

nb「……お前何処行ってたんだよ」
fk「悪ぃ、ちょっとね」
iw「何回も連絡したのに」
fk「……なんで?」
mg「康二が襲われた」
fk「はあ!? 誰に!?」
ab「こないだ襲ってきた奴等」
fk「……生きてるよね?」
sk「当たり前じゃん」
dt「今先生の所」
fk「……後で行くわ」

身を硬くしていた深澤はその緊張を解いたが、内心は落ち着いてなどいなかった。
情報屋は「Team S」の拠点は知らないと言った。しかしここがばれるのも、仲間に更なる危険が及ぶのも時間の問題かもしれない。

ab「で、何処行ってたの」
fk「……あぁ、調べ物」

深澤はポケットから折り畳まれた紙を出して机に投げた。
中身を見た阿部が目を見開いて深澤を見る。その反応を見て他のメンバーもその紙を覗き込んだ。そこに描かれているのはあの男。

ab「これって、」
fk「そいつが依頼人」
iw「お前こんなの何処で」
fk「世の中には凄い人がいるもんだよな……その代わり相当出費したけど」

感嘆するメンバーに、深澤は仕入れて来た情報を話した。勿論、奴が自身の父親である可能性には触れていない。

nb「じゃあ裏切り者は」
fk「いない。まあ当然だけど」
dt「ねえ阿部。ふっかの話も合わせたら、」
ab「あの仮説が現実味を帯びてくるな」
fk「仮説?」

疑問符を浮かべる深澤に、阿部は先程病院で組み立てた仮説を話した。それを聞いた深澤は冷や汗と動悸を必死に抑え込んで平静を装った。
あの男は＿＿自身の父親かもしれない男はラウールを狙う以前に、目黒の家族を奪い、渡辺の親を宮舘の親に殺させたというのか。

fk「……それ証拠あるの」
ab「物的証拠は無いし、昔の話だから今更見つかるとも思えない。でも状況証拠というか……話の辻褄は合う」
fk「……そっか」

もし奴が本当に自身の父親だったら。もし阿部の仮説が当たったら。
＿＿俺は、ここにいていいの……?
Yesを選ぶ勇気は、今の彼には無い。

仮にFと深澤が本当に親子だったとしても、深澤は彼の悪事には全く関与していない。出来る訳が無い。
よって深澤が責任や罪悪感を負う必要は無い。

しかし深澤の性格はそれを許さない。
何も知らなかったとはいえ、自身の父親が仲間の人生を狂わせた事に何も思わない方が無理だ。

＿＿俺はどうすればいい?
しばらくは阿部の調査待ちという話を聞きながら、深澤は自問自答を繰り返した。