Hope In The Darkness Ⅲ (ページ24)

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「金儲けに利用しようとしたら母親に逃がされた、なんて話を聞いた事があります。腹が立ってその母親は殺した、とも」
fk「……クズかよ」

そこまで話した男は腑に落ちたように呟いた。

「だから、自ら依頼を」
fk「え?」
「最初の依頼は何時受けたんですか」
fk「数年前……としか覚えてないですけど、どうして」
「トップに立った彼は、自分で何か行動を起こすのは稀です。数年前までは自分でも動いていましたが」

深澤は男の言わんとする事を掴めずに戸惑った。

fk「どういう事ですか」
「ずっと引っかかっていました。何故今になって、自ら動く必要の無い彼がわざわざ自分で貴女方に依頼しに行ったのか」

男が次に放った言葉は深澤を混乱に陥れた。

「彼……どことなく貴方に似ていますね」

深澤は思わず息を飲んだ。既視感はまさかそのせいか。60代くらいという奴の年齢を考えれば確かに不自然ではない。
自分の名前は共に段ボールに入っていた紙に書いてあったと聞いた。もしこの名前を親が＿＿恐らく母親が＿＿付けたなら、奴の名字も深澤で、Fは深澤のFだと言われても分からないではない。

fk「まさか」
「あくまで似ているだけですが」

＿＿こいつが、俺の父親……?
しかし、しかしだ。認められる訳が無い。
彼の話が正しいなら、あの男は自分を金儲けの道具にしようとした。それを阻止するために母親が自分を施設に＿＿名前だけは付けて＿＿捨てた。それを知った男は母親を殺した。

そして今、金も権力も手に入れた彼は国を手に入れようとし、間接的にその計画に子供を利用した。
2度目の依頼をしてきたのは、最初の依頼の時に深澤が自身の子供だと直感的にわかったから。
＿＿ラウールを狙っているのは、自分の親……?
有り得ない。有り得ないと言ってくれ。

「……調べてみますか」
fk「……どうやって」
「簡単です、親子鑑定するだけです。彼の毛髪を拝借してありますから、貴方の毛髪を頂ければ検査に出せます」
fk「お願いします」

深澤は即答していた。すぐに髪を一本抜いて情報屋に差し出した。
はっきりさせて欲しかった。自分があんな男と血縁関係にない事を。

＿＿だって、本当に親子だったら。
仲間達の前で、一体どんな顔をすればいいのだ。