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そんな安易な考えでその二人を同一人物だとみなしていいのか。阿部はその考えを採用する事を躊躇った。
しかし、目黒は単なる思いつきで話した訳では無い。
ru「ごめん……めめ、アルファベットわかるの」
mg「そこだけすげえ覚えてるんだよ。親父に教えてもらったから」
iw「思い出って事か」
目黒は表情を硬くしたまま話を続けた。
mg「俺、EとFの区別が全然つかなかったの。そしたら勉強してた時に、親父にFが6番目だって言われて」
ru「うん」
mg「そうやって言った瞬間、親父が凄い顔したの。だから覚えてる」
その瞬間、阿部の脳裏に一閃が走った。
ab「何かに気づいた、衝撃を受けた」
mg「そんな感じの顔」
ab「親父さん、その時期個人的に何か調べてなかったか。それか関わってた事件でもいい、何か知らないか」
身を乗り出す阿部に気圧されながら目黒は答えた。
mg「……そこまではわかんない、けど」
ab「けど?」
mg「その話して割とすぐに、殺された」
目黒は床に視線を落として呟いた。阿部の脳内で点が繋がっていく。
ab「舘さん。Fの特徴何か知らない?」
dt「親父と同年代の男」
ab「じゃあやっぱり、」
考える事は同じなのかラウールも息を飲んだ。
sk「阿部ちゃん、俺全然わかんない」
nb「説明して」
憶測だし疑問は残る、そう前置きした上で阿部は仮説を語り始めた。
ab「Fは舘さんの親父さんに、翔太の両親を殺すように依頼した」
nb「……なんで」
dt「Fって奴のグループと関係を切ろうとしたから」
nb「そう、なんだ」
ab「話続けるよ。Fと名乗る男は最近になって国家転覆を企てている。そこに関与した大臣を消す依頼をして来たのが6と名乗る男。ふっか曰く60代くらい。Fが舘さんの親父さんと同年代という事は、Fも今は60代くらいだと考えられる。そうだよね舘さん」
dt「そうだね」
iw「それって」
ab「Fは6番目。つまりFと6が表すのは同一人物。同じ考えに至ったのが警察だった目黒の親父さん」
誰かがはっと息を吸う音が聞こえた。
ab「目黒の親父さんはF、そして6と名乗る人物について調べていたんじゃないか。最初はその二人を別人と見なしていたけど、その二人が同一人物だって気がついたんだと思う。そのせいで＿＿あるいはそこから重要な事実に気付いて殺された」
mg「……っ」
ab「つまり」
阿部は深呼吸を挟んで結論を口にした。
ab「Fと名乗る男は目黒の事件、舘さん達の事件に関わっていて＿＿ラウールにも手を出そうとしている」
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作者名：怜
| 作成日時：2020年8月12日 21時
