Hope In The Darkness Ⅲ (ページ17)

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その日の夜、向井はコンビニに出かけていた。
襲われた際にはっきり顔を見られていた向井は、顔を隠す為にマスクをして出歩いていた。何時何処で再び狙われるかわからないから。

そう、何時何処で狙われるかわからない。
向井は住処とコンビニを往復する数分の間で襲撃にあった。
マスクをしていたのにも関わらず向井である事がばれたのは、相手があの日の二人だったから。逃げる事に必死であの時殺さなかった事が尾を引いた。

向井は体術と銃撃を組み合わせて応戦した。隙あらば相手の急所に拳を打ち込み、命を奪おうと引き金を引いた。
しかし、今回はしっかり二対一である。

kj「ほんま、しつこい……、」

個々の実力を比べれば向井が最も力があるものの、それなりの実力者を二人相手にすれば相当苦戦する。
相手を確実に衰弱させてはいるが既に向井も一、二発被弾していた。それ以上に拳も食らっている。

kj「っはあ、はぁ……っ」

向井達は距離をとって相手の出方を伺っていた。互いに息は荒くなっている。油断すれば向井の膝は崩れる。
最早向井は気力で立っているのだ。絶対に生きて帰るため。住処で待つラウールの、仲間のため。
互いの弾も残り僅か。次の一手が勝負を決める。

向井はあるだけの集中力を一点に集めて相手を見つめた。
相手の銃を持つ腕が動いた瞬間、向井は二つの頭目がけて素早く引き金を二回引いた。

複数の銃声が響いて、二つの身体が地に叩きつけられた。
銃弾は二つの頭、そして向井の腹に突き刺さっていた。

kj「いっ……」

向井は傷だらけの体を引きずって男達の死骸に近づいた。
阿部が苦戦しているのを思い出した彼は死体に探りを入れ、やがて宝物を見つけた。

kj「あった……!」

奴等のスマートフォン。これがあればラウールを狙う犯人を追える。阿部にはそれができる。

向井は二つの端末をコンビニの袋に放り込むと、命からがら住処に辿り着いた。
彼が勝手口のドアを開けるのと、阿部と渡辺がBarと階段を繋ぐドアを開けるのはほぼ同時だった。
向井は二人を見た瞬間に限界を迎えた。

nb「……康二?」
ab「康二!!」

向井が床に伏した瞬間に阿部と渡辺は駆け付けた。急いで先生の元に連れて行こうと、二人は向井を車に運ぼうとした。

ab「誰にやられた」
kj「……ま、」
ab「スマホ?」
nb「は?」
kj「……奴等の」

向井はそれしか言えずに意識を手放したが、阿部には十分伝わった。
しかしまずは。二人は向井を必死で車に運んだ。