Hope In The Darkness Ⅲ (ページ13)

今日:6 hit、昨日:31 hit、合計:315,990 hit

7 ページ13

その後ラウールは落ち着きを取り戻したものの、気持ちが回復した訳では無いので部屋に一人で籠っていた。
愛されていなかったとはいえ肉親を失ったのだ。そのショックは簡単に拭えるものではない。
そんなラウールを見た佐久間達はしばらくラウールをそっとしておく事にした。

Barの営業を終えて地下に戻ってきた深澤と目黒に、ソファに残っていた阿部はニュースについて説明した。
話を聞いて深澤は眉を顰め、目黒は表情を失くした。

fk「……まじか」
ab「うん……」
mg「……犯人は」
fk「めめ、」

2人が目黒の異変に気付いた時にはもう、彼の目は復讐に取り憑かれていた。
憎悪と嫌悪に塗れた真っ黒な、あの頃の目。

mg「犯人誰っすか」
ab「流石にまだわかんないよ」
mg「殺さなきゃ、」
fk「めめ」
mg「早く殺さなきゃ」
fk「めめ!」

深澤は目黒の両肩を正面から掴み、目を覚まさせるかのように揺さぶった。
瞳に広がる闇が深澤を飲み込もうとしていた。

mg「……早くしないと手遅れになりますよ」
fk「めめ、」
mg「俺みたいになっちゃだめなんだよ」
fk「それで復讐するのはお前のただのエゴだろ」
mg「復讐なんてそんなもんでしょ、だから組織にもやり返したでしょ」
fk「今回もラウールがやってくれって言ったのか」

目黒が一瞬言葉に詰まった隙に深澤は畳み掛ける。

fk「確かに俺達はラウール拐った奴等にやり返した。始まりは俺達の＿＿俺の自己満足だよ。でもラウールが望まないなら実行する気は無かった」
mg「……」
fk「復讐するかどうかを決めるのはあくまでやられた本人であるべきだ、違うか」

目黒は何も言わずに深澤を見つめている。しかしやがて目を逸らすと、乱暴に頭をかいて長い息を吐いた。

mg「……頭冷やしてきます」

目黒が階段を上っていくのを見送って、黙っていた阿部がようやく口を開いた。

ab「……俺の自己満足、ね」
fk「だってそうじゃん」
ab「お前一人の自己満足じゃねえだろ」
fk「まあ……そうかもしれないけど」
ab「少なくとも俺は含まれる」

リビングにラウールがいないのをいい事に、深澤は煙草を取り出した。深澤の了承を得ずに阿部も煙草を抜き取り、深澤も当然かのように火を差し出す。
煙を吸った後にどかっとソファに座った深澤は、煙と共に疑問を口にした。