hope〈3〉

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wn side


ガヤガヤ音が聞こえてきて、
目を開ければ俺の横にある椅子に座り、
スマホをいじる康二。え？康二？


「なんでいるの、あ！寝坊！」


俺夜勤じゃん！なんて起き上がれば、


「っ、」


向「あぁあかんあかん！急に起きたら体びっくりするやん！」


そんなん看護師やなくても分かるわ、なんて
言われても…


「…」


腕には謎の絆創膏…これ誰のやつ？
お相撲さんの柄の絆創膏なんて子供喜ばないでしょ。

傍には俺のカバン、

普段よりしっかりかかってる布団。


「そっか、俺」


え？でも阿部ちゃんと涼太先生…


向「百面相せんでも、今12時やで？」


「え、俺」


向「8時間くらい寝てた、俺はさっき来たとこ！」


「…ちゃんと働きなよ」


向「ちょちょ！誰有給変わってあげてると思ってんねん！」


「有給？」


向「そう。しょったくん今日と明日おやすみ。ダテ先生からの医者命令です」


「それはまじでごめん」


向「ええねん！休みは！
…それよりなんで喘息あること黙ってたん？」


「…なんか、恥ずかしかった」


向「そんなん、」


「分かってる、分かってるけど。
自分も大して強くないのになに看護師やってんだろうなって、」


向「でも俺、翔太くん急に喘息なっても知らんかったら慌ててまうよ」



「知ってても慌てるでしょ」


もぉ〜そうやないの！って俺に抱きついてくる康二。

昔から何となく言いずらくて。

他の人が喘息だって聞いたら心配するし、
辛くなったら言ってねって思うのにどうも自分の事となると、言い出せなかったりする。


“喘息持ちなのに看護師になったら、
絶対みんなに勇気あげれるよ。”


涼太の言葉が、脳内で木霊する。



何度もそれを言い訳にして夢から逃げ出そうとしたこともあったけど、でも、
逃げなくてよかったと心から思ってる。


だって、夢を叶えたんだから。



治らなくたって夢は叶えられるよ。



少しずるいかもしれないし、逃げているような
気もするけどこの一言は俺にしか言えない言葉。



俺も絶対支える！頼ってな！、なんて頼もしいことを言う後輩に、頼りにしてるよ、なんて少しくすぐったい言葉をかけつつ俺も抱きしめ返した。


end.

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