hope〈3〉

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wn side


「…お、塗り絵か」



突発性難聴と診断されたAは、治療のためお部屋で1人静かに過ごしてる。
寂しがるかな〜なんて思って見に行くと結構普通に塗り絵をしてた。



「A〜、しょっぴーだよ」


ドアが開いたことも、俺の存在にも、
全く気付いていない所に少し胸が痛くなった。


塗り絵をしてるAの手元でふりふりと手を振ったらまん丸なお目目がこちらを向く。


「ふはっ、ごめんごめん」



やっぱり、殆ど音のない世界は怖いはず。


驚かせてしまったかと思ったけど、抱きついてきたのでそっと頭を撫でた。


「えー、上手になったね」


塗り絵、結構苦手だったんだけどね。


いつの間にかちゃーんと塗れるようになってる。



A『…っ、ぴ』


「ん？」


A『のね…ぇてもい？』


「ごめん、もう1回言って？」


A『…んーん』


「…ごめんね」



なんて言ったか分からず、手でもう1回と出してみたら話すことを諦めてしまった。


これが今の最大の問題。


なかなか声が小さくて伝わらないし、
かと言ってそこまで伝えようって気持ちがないのか筆談しようと思うと全然書いてもくれない。


文字が書けない訳では無い。


歪だけど、可愛くて頑張ってる文字。



俺から離れて、また塗り絵を再開させたAを見てどうにか出来ないかと考えた。








「あ、」



そーだ。



「ねえねえ、ちょっとしょっぴー工作するね」



A『…？』



「あー…まぁ塗り絵やってて？」



A『…？？』



「あー、うん、大丈夫よ」



何するのか分かってなくて警戒してるAがパニックにならないように、作り笑顔をしながら俺は工作を始めた。




「…まいっか、読めるし」



とりあえずで作ったのは『はい』『いいえ』のカード。


これさえあれば今よりかは楽になるでしょ、


Aに見せれば意味が分かったのか、
ちょっと嬉しそうにしてくれた。


A『…れ、』


「これ？これね、犬卵」


A『…ぃくない』


「可愛くない？(笑)」


可愛くないと言われた力作の絵は置いといて、
じゃあこれ使ってねとだけ紙に書いてAの病室を後にした。

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