hope〈3〉

ひらり、 ページ24

iw side


A『ふぇぇ、ﾋｸｯ…んっ、』


「泣かない泣かない。」



俺の腕の中でしくしくと泣き続ける理由は、
実は全く分かってない。


外来から病棟へ戻る時にたまたま覗いたAの病室から泣き声が聞こえて慌てて駆け寄ったけど、そこには1人ぽつんと泣いているA。


体調悪いのかと思って聞いてみたけど、
それには首をブンブン振るから違うらしい。



「ん〜」


今日ふっか休みなんだよな。


まぁでも埒が明かないし、
口下手な俺なんかより泣き止まずの得意なやつら
沢山いるから、と思い抱っこしたままナースステーションに向かうことにした。




渡「あら。」


「なんか泣いてんだけど、」


佐「あれま、」


向「どぉしてん〜〜！」



想像通り、
しっかり反応してくれる面々を見て一安心。






A『んぅえええ〜(泣)』


と、



思ったのも束の間。



「え、なんでなんで」


ヒートアップして泣き出した。


向「あ、せや、さっき俺たまごボーロ買ってきてん！食べる？」


渡辺「えぇっ！いいなぁ」



向「しょったくんあんたいくつや！」



「…だってよ？食べる？」


まぁそんなやり取りに今の号泣してるAが反応する訳もなく。



佐「とりあえず、預かります」


「わりぃ、さんきゅー」


気を使って佐久間が抱っこを変わってくれたんだけど、そこは割とスムーズに俺から佐久間へと抱っこチェンジ。



舘「どうしたの？」


「分かんない、俺見た時にはもう泣いてた」


舘「ふっか？」


「なのかなぁ？」



ふっかいなくても、別に体調悪い時以外はなんてことないのに。
やっぱり体調悪いのかな？なんてちょっと不安になる。





これが、
彼女からのサインだったなんて。

気づける訳がなかった。

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