34、久しぶり。 ページ35
Aside
コツ、コツ、と私とママの足音が門の中に鳴り響く。
前世で当時のママと出荷についてのやり取りした門だ。
懐かしさと悔しさで私の顔が歪む。
少し歩いて、ママはゆっくりと私の方を向いて寂しそうに微笑む。
｢ここで、少し待っていて頂戴ね。｣
｢うん。｣
ママは暗闇の中に姿を消した。
『なんで、なんで出荷を望んだんだよ。』
しばらくして、声が聞こえて後ろを振り返ってみると、そこには私の方をじっと見ていたレイがいた。
｢…ごめんね。私、みんなのこと大好きだから。それだけは忘れないでね。｣
…貴方が1番大好きだったんだよ。
その気持ちは心の中に留めておく。
｢よく頑張ったね、レイ。もう一人じゃないよ。みんながいるし、私がいる。｣
『お前はもういなくなるじゃねーか。』
レイは不満たっぷりの顔でそう呟いた。
｢いるよ。ずーっと。みんなが忘れない限り、ずっと。｣
『なっ……あははっ。そうだな。沢山言いたいことはあるんだけど……A、本当にごめんな。』
｢え？｣
レイの言葉に前を向くと、目の前には闇が広がっていて、レイの姿はどこにもなかった。
その代わり、遠くの方からママの足音が聞こえてきた。
｢待たせたわね。さぁ、行くわよ。｣
｢やっと…やっとなんだね…。｣
私の言葉にママ不思議な顔をした。
でもすぐにいつもの笑顔に戻る。
コツ、コツ、コツ、
足音が近くの方からして音の方を見ると人間のような見た目に仮面を付けている鬼がゆっくりとこっちに向かって歩いてきた。
その鬼は前世の私の息子だった。
…無事だったんだね。よかったぁ。……何だかすごく懐かしいな。
1人懐かしさに浸っていると、息子は信じられないと言う顔でこちらを凝視している。
｢まさか…本当に、お母さん？｣
私はコクリと頷く。
息子は目をぱちくりさせて｢お母さん、お母さん？お母さん。｣とお母さんという言葉を連呼している
…信じられないよね、今まで自分が食べてきた人間と姿が一緒なんだもんね。
私はゆっくりと私より背の高い息子にハグをした。
息子は｢あぁ、お母さんだ｣と小さくつぶやいた。
私は抱きしめる腕を強める。
｢…久しぶり。そして、さようなら。｣
…
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Rabbit book(プロフ) - 名無し36402号さん» 嬉しい！！（挨拶） (2019年8月28日 16時) (
レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36402号(プロフ) - 好き！！（挨拶） (2019年8月28日 16時) (レス) id: c75b9f4129 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - まる。さん» ありがとうございます！！凄く嬉しいです(T^T)これからも応援よろしくお願いします！！ (2019年8月10日 17時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
まる。 - もー！泣いちゃったじゃないですか〜！最高でした。。。 (2019年8月7日 14時) (レス) id: 76c9882528 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - カイヤさん» そこには何があったのでしょうか…。楽しみにしてて下さりありがとうございます！ママ達の小説も凄く面白かったですよ！！両方感動しました！！クローネの話に出てくるあの人がすきです！笑これからもよろしくお願いします！ (2019年4月13日 20時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ま る | 作成日時：2019年3月28日 20時
