2、美しい涙 ページ3
彼のいる図書室の1番隅。ここは入口からは死角になっている。
｢レーイ。大丈夫？｣
私は図書室の扉を開けて、小さな声で呼びかける。
返事がなかったので、私はレイの傍によった。
レイは俯いていた。目が隠れるほどの前髪がゆっくり揺れている。
｢レイ…。だ…大丈夫だよ！きっとまた会えるよ！手紙書くって言ってたし！｣
私は慰めるようにそう言うと、レイはゆっくり前を向き、私に目線を合わせた。
彼の目から涙が溢れ、頬をつたっていく。
初めて見る彼の涙は、本で見たダイアモンドのようにキラキラしていて、とても美しかった。
｢あえな…よ｣
｢…え？｣
｢会えないんだよ…絶対に…｣
レイは、言葉に詰まりながらも悔しそうにそう言った。
｢会えない…？会えなくても、手紙送ってくれ…｣
｢手紙もこないよ。絶対に。｣
私の言葉を遮り、今度は強めに言う。
｢な…んで…。今まではこなかったけど、来るかもしれないじゃん！｣
なんでそんな分かりきってるように話すのか分からず、つい強めの口調で言ってしまった。
｢ごめ…｣
｢ごめん。さっきのことは気にしないでくれ…｣
謝ろうとした私の言葉を遮り、レイは俯いてそう言った。
気にしないでくれ…？
｢やだ。｣
悲しそうな、辛そうな表情をするレイ。それは全てを諦めているようにも見えた。
｢いって。レイの知ってること全て話して。｣
何事にも少し諦めが早い貴方だから。
独りで溜め込んで、感情を押し殺して、私たちには何事もない顔で笑うんでしょ？
レイは顔を上げ少し嫌な顔をしたが、｢Aにはかなわないな｣と淡い笑みをうかべ、少しずつ話してくれた。
＿＿ハウスから出た子供たちは紅い華を刺されて"鬼"に食べられること。
＿＿発信機が体のどこかにあり、脱走は不可能。
＿＿知っているのはレイだけ。
｢…辛かったね。｣
話を聞き終えた私はレイを強く抱きしめた。
彼は知っていたんだ。ずっと。
＿＿旅立っていった兄弟達の結末を
＿＿門の向こう側の世界を
レイもそれに答えるように強く抱き締めてくれた。
2人して大粒の涙を流す。
…私は少し不思議に思うことがあった。
"鬼"という単語を聞いた瞬間、
"本"でも見たことないのに
"話"も聞いたことないのに
すぐに姿が思い浮かんでしまったのだ＿＿＿
.
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Rabbit book(プロフ) - 名無し36402号さん» 嬉しい！！（挨拶） (2019年8月28日 16時) (
レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し36402号(プロフ) - 好き！！（挨拶） (2019年8月28日 16時) (レス) id: c75b9f4129 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - まる。さん» ありがとうございます！！凄く嬉しいです(T^T)これからも応援よろしくお願いします！！ (2019年8月10日 17時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
まる。 - もー！泣いちゃったじゃないですか〜！最高でした。。。 (2019年8月7日 14時) (レス) id: 76c9882528 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - カイヤさん» そこには何があったのでしょうか…。楽しみにしてて下さりありがとうございます！ママ達の小説も凄く面白かったですよ！！両方感動しました！！クローネの話に出てくるあの人がすきです！笑これからもよろしくお願いします！ (2019年4月13日 20時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ま る | 作成日時：2019年3月28日 20時
