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本当に苦かったみたいでちょっぴり涙目になってるAさんから、翔平ブレンドの入ったマグカップを受け取ってもう一度キッチンに戻る。

これ、Aさんがそんなになるほどの苦いコーヒーってこと?自分が、一体どんなダークマターを生み出してしまったのか気になって好奇心に負けて、口をつけた。

「うわ、苦っ!」
「でしょ!?」
「駄目だ、これやばい」

吐き出すのはなんかしたくないので、急いでコップに水を入れて一気に飲み干す。やっばいなこれ、コーヒー独特の苦味のよくないところを凝縮したみたいな味した。

「俺、天才かも……」
「めちゃ苦コーヒーを作る才能、要らなすぎるよ。飲めるラテに変えてね」
「はぁい」

冷蔵庫から牛乳を取り出して、マグカップいっぱいになるまで注いで……とそこまで作業してはっと気づいた。

「やべ、砂糖入れれない」
「なんで先ミルク入れちゃったの」
「だって……って、Aさんお仕事は?」

呆れたような声に振り向けば、さっきまで机にいたはずのAさんがいつの間にか俺の後ろに立っていた。リビングをチラッと見れば、パソコンも閉じてしまってるし。

「もういいの、今日はおしまい。集中力切れた!」
「いいの?」
「いいのって……君が切らしたんだよ、私の集中力」
「それは……ごめん?」
「誠意がない」

怒ってます、とばかりにぷくりと膨れた頬。それをつんとつつけば、どうやら更に怒らせてしまったようで、むにとほっぺを抓られた。まぁあんまり伸びないのがつまらないのか、すぐに離されたんだけど。

「本当にいいの。もう今日の分は終わってたし。どうせあと連絡貰わないと出来ないから」
「じゃあもう終わり?」
「うん、おしまい」

そう言うと手持ち無沙汰なのか、どうにか砂糖を入れれないかマグカップの前で格闘する俺を、後ろからぎゅっと抱きしめてくるAさん。身長差のせいで、肩からじゃなくて脇下あたりから顔を覗かせるAさんの方を振り向きながら、おやつのお誘いをする。

「じゃあケーキ食べよ。今日帰りに買ってきたから」
「いいの?」
「なにが」
「食事制限。シーズンオフの方が気にしてるんじゃないの」
「栄養士さんに聞いたから大丈夫。なんかね、脂質糖質カットでグルテンフリーなんだって」



ーーーーー

グルテンフリーって大事だよな〜と思いながら、深夜にうどんを食べています🫢

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:haru | 作成日時:2023年5月3日 0時

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