検索窓
今日:20 hit、昨日:27 hit、合計:132,385 hit

. ♥ ページ7



そんな訳で、コーヒーの粉をマグカップにティースプーン1杯入れる。あとはお湯が沸いてそれを注げば、Aさんの好きな美味しいインスタントコーヒーの完成だ。

……いや、待てよ、このまま単にブラック持って行ったところで、Aさんはそのまま仕事に戻ってしまうのでは?それってただコーヒーを淹れただけのパシリも同然では?

「それはつまんないな」
「ん〜?何か言った〜?」
「いや、何も!」
「そう?聞き間違いか」

ほら、今のもどうでもいいかと思ったらすぐ仕事に戻った!確かに何も、とは言ったけど!もうちょっとこっちに興味持ってもいいじゃん。

そんな不満を込めて、いつものマグカップにもう1杯、2杯粉を追加する。うん、これくらいなら飲めなくはないけど、めちゃめちゃ苦いぐらいになったはず。ちょうどいいタイミングで沸いたお湯を注げば完成。

俺の分も一緒に作って──もちろんこっちは普通のブラックにしてある──、何も知らずに作業を続けるAさんのところへ持っていく。

「Aさ〜ん、出来たよ」
「ん、ありがとう」

Aさんはありがとう、と言う一瞬だけこちらを見て、それきりまた目線をパソコンに戻した。
けど、今の俺はそんなの気にもならない。だってあのコーヒーがびっくりするほど苦いって知ってるし。コーヒーならブラックも飲むけど、基本は苦いのが得意じゃないAさんなら、絶対反応してくれるはず。

じいっと見つめる俺に少しだけ怪訝な目をしながらも、そっとカップに口を付けたAさん。一口こくりと飲み込んで、それからなんとも言えない微妙な顔をした。

「……待って、なにこれ」
「ん〜、翔平ブレンド?」
「にっっっが……」
「あはは!」

余程苦いのか、資料を見ていた時よりもよほど眉間に皺を寄せている。その表情がおかしくって、思わず大声あげて笑ってしまう。それをしてしまって、Aさんに、じとっと睨まれるのもお約束。

「ねぇ、どうやったの、これ」
「粉3杯」
「エスプレッソかと思った……あ〜にっがい……」
「お砂糖いる?」
「いる、ミルクもいる」
「はぁい」




ーーーーー

久々、クソガキモード翔平くんを書けて楽しいです もうちょっとこのおはなしが続く予定です🧸

. ♥→←とっておきの1杯を ♥



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (153 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
906人がお気に入り
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:haru | 作成日時:2023年5月3日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。