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「ほな大谷さん、こっちでベンチやりましょか〜」
「うっす」
プレス台に横になりながら、ちらりとAさんの方を見やる。どうやら、今は有酸素運動中らしく、ふっ、と短い息を吐きながら、軽やかにランニングマシンを駆けていた。
最近運動してない、といいつつも、そもそもの積み上げが違うんだよな。だってまぁまぁの速度あるし、加えてさっきまできちんと筋トレもこなしてたし。
太ったよね、なんて茶化してたけど普通に元が細いだけで、平均的だと思うし。
そんなことをぼうっと考えていれば、視界に顰めっ面のパーソナルトレーナーさんが入ってきた。
「……大谷さぁ〜ん、集中〜」
「んﾞ！すいません！」
「分かりますけどね、気持ちはね。けどそれで怪我したらあかんのでね、とりあえず集中してやっていきましょ」
「うぃっす」
駄目だな、これぐらいで気を取られちゃ。もう一度切り替えて、しっかり集中する。
トレーニング自体は、Aさんをして腕と技術は完璧と言わせるだけあって、的確な指導のもとで進んでいった。うん、オフのジム、ここにしてよかったな。
そろそろ一区切り、というところで、ランニングマシンを切り上げたらしいAさんがひょいっと姿を現した。
「お疲れさまで〜す」
「あらららら、Aさん、もう終わりですか？？筋トレにランに頑張ってたみたいですけど、もうちょいやった方がええんとちゃいます？」
「うるさいですよっ！今日はもう終わりっ！」
茶化す先輩に、ふいっとそっぽを向いてしまったAさん。最後、1セット体幹を終わらせてから2人の会話に混ざった。
「Aさんはもう終わり？」
「この人はグチグチ言ってくるけど、私は終わり。翔平くんは？」
「俺ももう終わり……ですよね？」
「えぇえぇ大谷さんはね、どっかの子豚ちゃんと違ってきっちりシーズンに向けてシーズン仕上げられるようにしてますからね。今日のも完璧にこなしてくれましたんでね、お疲れさんです」
「……うっす」
「話が長いんですよ、先輩」
「わは！関西人やからな！」
いや、関西人は話が長いの免罪符にはならないだろ。Aさんの方を見れば、同じことを思っていたようで、ひょいと肩を竦めている。この人ほんと、腕は確かなんだけど。
「ほなまぁ、今日はこれでおしまいです。お疲れさんでした」
「はい、ありがとうございました」
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全然1話で終わってなくて笑ってます、どうして
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作者名：haru | 作成日時：2023年5月3日 0時
