. ♥ ページ35
*
ヒーロー、だなんて、俺には勿体ない言葉だ。そんなことを言うのなら、今、俺の目の前に現れてくれたAさんの方がよっぽど、眩しくてそれに相応しい。
「A、さん」
「泣きそうな顔しないの。あのね、知らないかもしれないから言っておくけど、私、君が思ってるよりも君のこと大好きだから。これくらい大したことないよ」
するりと頬に寄せられるAさんの手に、こてんと頭の重みを預ければ、俺の大好きな柔らかい笑い声がした。
あぁ、甘やかされてるな。許されてるな。その優しさがどうしようもなく嬉しくて、幸せだ。
「……ありがとう、ほんとにありがとう」
「ふふ、どういたしまして」
ほら、と手を引かれて体を起こされる。ついさっきまで同じ高さだったのに、離れてしまった視線が少し寂しくて、さっきまで頬に当てられていた手をぎゅっと握りしめた。
「……いつまでいてくれるの?」
「う〜ん、1週間ないくらいかな」
「その間、ずっといてくれる?」
「むしろ、いさせてもらわないと困るの。これで私、夏休みなくなったんだから」
やった。1週間、一緒なんだ。オフに告白して、付き合って、それからすぐ俺はアメリカへ行ってしまったから、そんなに長い間、一緒なのは初めてかもしれない。
外には出られないけど、部屋でゆっくり2人でたくさんお話したりできるかな。Aさんの作ったご飯とか、食べられるかな。そんな小さな願望がぽつりぽつりと芽を出していく。
そんなふうに浮かれてたから、いつの間にか俺の手から抜け出していたことに、Aさんがリビングの扉へ手をかけるまで気づかなかった。
「あ、待って。部屋は……」
「汚っ!?」
あ〜、やばい、遅かった。おそらくAさんの目には、俺があの日から散らかしまくったリビングが映っているはずだ。
後ろから来た一平さんは、綺麗な時の部屋を知っているからか、余計に驚いたような様子でいる。
ーーーーー
気づいたらひと月近く投稿をしていませんでした💦
色々と起こりすぎていて感情が爆発しそうですが……
この間に、♡やお気に入りをしてくださった皆さま、待っていてくださった皆さま、ほんとうにありがとうございます🥹🩷
書きたいことはほんとうにたくさんあるので、これからもちまちまと更新していきます🧸
どうぞ呆れず、お付き合いのほど、よろしくお願いします……!
906人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:haru | 作成日時:2023年5月3日 0時