ア ページ1
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2年前と比べて変わったことがある。
ひとつめは年齢。29だった私が今年で31になった
ふたつめはイヤホン。よくイヤホンをして歩いてたけどよく考えたらイヤホンで音楽を聴きながら歩いてるのって危険だな、と思ってイヤホンはやめた。
みっつめは私のポジション。女優だったはずなのに最近じゃ芸人兼女優みたいになってる。嫌な気はしない。
よっつめが私のお家。近くに丸山さんの家があるってだけでそわそわしていたし、事件があったのもあの近くだったから思い切って引っ越してみた。そしたら夜道も不思議なことに普通に歩けるようになった。
こう変わったものがある中で
変わらないところももちろんある。
服の趣味だったり、好きな食べ物。
好きな曲も変わってなかったり変わってたりするけど
丸山さんのことを今でも想ってる。
最近気づいたことなのだけど
悲しい恋、って曲の歌詞が当てはまりすぎて。
聴くたびにまた思い出してしまう。
ーーー嘘ついた心 終わらせた恋 本気じゃなかったと
ーー人波に紛れ すれ違う影 似た人探す
ーーー泣きじゃくる背中 しゃがれた声が 今でもよみがえる
ーー二度と会わないと 自分勝手に 引き裂いた愛
今でも鮮明に思い出す。
『そ、っか。 ごめんなぁ、困らせてたやんな。ごめんな、』
そう言って小さく震えていた背中とかすれた声
脳裏にこびりついて剥がれない。
悲しい恋、ね。
私は後にも先にも、恋愛してたのはこの時だけ。
多少美化してるところもあると思うけどあの頃はどんなに忙しくても楽しかった。
純粋なファンとして丸山さんを観れるようになるころにはあの頃の影なんて無くて
年々かっこよくなっていく丸山さんを画面越しに見ながら冗談ぽく「逃がした魚は大きいなぁ」なんて呟いたりもしていた
全部、未練からくるもの。
痛い、な。なにもかも。
好きだよ、なんてもう言えないけれど。
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作者名:しのはら | 作成日時:2017年7月29日 23時