思いの伝え方【SVT(95's,96's)】ー短編集ー (ページ21)

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月下香-wonwoo- ページ21

WN side

今週も忙しかったな

大手企業に勤めるチョンウォヌ(俺)

週6出勤の俺は土曜の夜は疲れがどっと来る一日ではあるが明日やっと休みだという嬉しさもある

車を駐車場に停めて俺らが住む高層マンションの一室に向かう

「ただいまー」

玄関のドアを開けるとものすごく甘い匂いがした

「…甘」

いつも迎えに来るはずのAが迎えに来ない事を不思議に思いながら仕方なく1人でリビングまで進んだ

「これか」

匂いの正体はこの花瓶に刺さってる花

丁寧にテーブルサイドに置かれたそれは一見ただの綺麗な花に見えるけどそんなんじゃないんだよな〜

手を洗いに洗面台に行くとAがお風呂に入っていることに気づいた

「風呂か、俺も入ろ」

時間が経つにつれてめんどくさく感じるから服を脱いで風呂場のドアを開けた

『わっ!!!』

びっくりした様子のA

「ただいま、びっくりした？」

『びっくりするよ…おかえり』

「なんでタオル巻いてんの」

一緒に入るなんて言ってないのに体にタオルを纏っているA

『勘？』

「なんだ、つまんない」

それでもAがちょっと照れてるのは俺はタオルを巻いてないから

「そういえばテーブルに置いてあった花、あれどうしたの？」

シャワーを済ませた俺はAと向かい合うように浴槽に浸かって言った

　

『あれ？会社の上司に貰ったの、綺麗でしょーって』

「ふーん、上司って男？」

『うん』

「どんな人」

Aの方に体ごと移動してAの上に乗っかった

『厳しくも優しい上司』

「ふーん」

『興味無いんじゃん笑』

興味ない訳じゃないぞ

「リビング行ったらびっくりするよ」

あの香りにね

『なんで?』

「それは行ってからのお楽しみ」

-

『うわ、甘。この匂いの事?』

「そう、めっちゃ甘いよね」

口に手を当てて驚くAがとても可愛い

「A、風邪引く前に髪の毛乾かしてあげる」

『ほんと?ありがと～』

風呂上がってすぐ髪の毛を乾かすのは激しい夜の前兆

Aも分かっているはずだが表面上何も無いようにしているんだろう

「おしまい。歯も磨いちゃいなよ」

『はーい』

甘い時間も迫ってきた

匂いも心做しか強くなっているような気がする