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[とある美術館の屋上にて]
「やっと来てくれましたね、Aお嬢様」
「今日は満月だったので。私は案外ロマンチストなんですよ?」
銃を片手に、ニヤリと笑いながらそう告げる
銃口を向けられても全く動じない彼、怪盗キッドは、白い衣装を身に纏って微笑んでいる
そんなキッドは、私と同様にトランプ銃を私に向けている。
「どうして私が貴方に構うのか、分かる?」
「...私に恋をしているから、でしょうか」
「ぴんぽーん。」
ふざけてそう言うと、キッドは一瞬固まり、すぐに笑い始めた
「ふふ、...それは嬉しいですね。両思いじゃないですか」
「...へえ」
少しずつ距離を縮めてくるキッドに比例して、私も屋上の端へと後ずさる
彼に会うのは、確か6回目だ。
「本当に貴方が私のことを好きなのかは置いといて」
「置いとくんかい、」
「俺はAのこと好きだよ」
彼の本性
黒羽快斗
どうして私に本性を出してくれるのか。私が調べたとはいえ、そんな簡単に怪盗が素顔を認めるものなのか。
それとも__心を開いてくれているのか。
「今どきの男子高校生ってみんな口説き上手ね」
「...みんな?」
少し怪訝な顔をしたキッドは、トランプ銃を肩に置いた
それを見て私も銃を内ポケットに仕舞う
「世は高校生じゃ〜」
脳裏に浮かぶのは、
工藤新一、服部平次
「何言ってんだ?」
ポーカーフェイスの彼らしからぬ顔を見せたキッドは、すぐに気を取り直し、
「Aお嬢様。そろそろお迎えですよ?」
「私の?それとも貴方の?」
「どちらもですが、私はお迎えなど必要な、」
バンッ
キッドが喋っている途中、大きな音を立てて屋上の扉が開いた
_そこには
「Aを返してもらおうか、こそどろさんよぉ」
「ふっ...遅かったな、名探偵」
小さな名探偵が息を切らして立っていた
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莉奈 - 更新頑張ってください。楽しみに待ってます。応援してます。 (2018年10月24日 2時) (レス) id: 59f256afe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sapu | 作成日時:2018年6月3日 18時