嫌いな彼【宇野昌磨】 (ページ5)

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その夜、隆一さんは息を引き取った

動画を見せて、涙まで流してくれた隆一さんを残して自動販売機に向かった

戻ると、幸せそうに頬を緩ませて眠る隆一さんがいた

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それからは毎日が過ぎるのが遅くて、家でなにをするでもなくただ泣いていた

ついに、私の家族はいなくなってしまった

そんな悲しみの沼から抜け出せなかった

高校なんて、お金がなくていけない

青春は、事故があったあの日から消えていた

ただ、わたしの頭には彼が住み着いていて

《好きじゃなかったらあんなに綺麗に滑れないです》

嫌いなはずなのに。

もう足はあの場所に向かっていた

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いるわけない

分かっていたのに、来てしまったのはどこか期待していたからだ

親子やカップルがチラホラと見える氷の上は、どこか寂しく見えた

すぐにリンク場をあとにして、することもない私はまた彼の居場所を調べた

こんなのファンを超えてストーカーのやることだ

だけどなぜか心は彼を求めていた

「あ、」

突然声がして、びっくりして振り向くと

『宇野昌磨、...』

彼がいた

「えっ、ちょ、どうしたの...」

いろんな感情がごちゃごちゃになって、涙が溢れてきた

心配して近づいてきてくれる彼はもう私の嫌いな彼ではなかった

「大丈夫、泣かないで」

その声に安心して、彼の胸に寄りかかった

そこで意識は途切れた

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