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45話 ページ47

返答を聞くのが怖くて、
私は「いこっか」、なんて
笑って1歩歩き出す。



そんな私の右腕を掴んで
夏油は、ぐんと引っ張った。


体格差故か、すっぽりと
私の体が夏油の腕の中に収まる。



え、ヤバい、良い匂い!!

…なんて思ったのも束の間、
くるくると私の体は回され
気がついた時には壁に押し付けられていた。





…あ、まさか、これが
壁ドンというやつかもしれない!!






夏油の顔がすぐ側にある。


その表情は少しだけ困ったような、
蕩けた様な、そんな不思議で
見たこともない表情だった。




「ずっと前から月は綺麗だよ」




『ー…え、あ、それって』



夏油は答えることはなく、代わりに笑った。

いつもの良い子ちゃんのような
綺麗な笑顔でもなく、
時折見せる悪戯っ子のような物でもなく、
1人の男性のような笑顔を。



「私は、ずっと前から、君のことが好きだよ」



『え…ないすじょーく??』


「冗談なんかじゃないさ。…それとも君のは冗談だったの?」



夏油は次は困ったような
怒ったような表情を浮かべる。



「君の笑った顔も、楽しそうな笑顔も、ちょっとした仕草も、葡萄キャンデーを食べているときの幸せそうな表情も…」


『あ、ちょ、待って待って!!』



それ以上は恥ずかしくて無理!!

既にキャパオーバーなりかけなんだから!!



「Aは…私の事、嫌い?」


『…好き』


「私も」



夏油の大きな手が
くしゃくしゃと私の髪を撫でる。

心底幸せそうな笑顔を夏油は浮かべていた。



「私の、側に居てくれるかい?」


『うん、勿論。私で良ければ。』


「君だから、だよ?」






冬らしく、どうしようもなく肌寒い夜だった。


けれど、夏油がいたから、
今日はちょっとだけ温かいかも知れない。



「好きだよ、A」



あなたの腕の中で、
名前を呼んで貰えるのが
どうしようもなく、幸せ。



Fin

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設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , 五条悟   
作品ジャンル:ラブコメ
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chiaki0708(プロフ) - わぁーーーーぁーーーすっっっっごく良きな作品でした!!!夏油さん推しの方是非!!読んで欲しい!!!! (2022年1月17日 8時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - 古高 カスイさん» コメントありがとうございます!完走までお付き合いいただき、本当にありがとうございました…!すみません、気がつきませんでした。急遽修正いたします。ご報告ありがとうございました…!! (2021年3月10日 20時) (レス) id: 400d2ea662 (このIDを非表示/違反報告)
古高 カスイ - 完結おめでとうございます!!お疲れ様です。あとがきの1行目が、めまして、になってます。新作も読ませていただきます。 (2021年3月10日 20時) (レス) id: 4f2d26b0e9 (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - 古高 カスイさん» コメントありがとうございます!コメントをいただけると執筆が捗ります☆そうですね、神様は優しくて優しくないって誰かが言ってたような…。展開は遅めですが、これからも更新頑張ります! (2021年3月6日 7時) (レス) id: 400d2ea662 (このIDを非表示/違反報告)
古高 カスイ - バレンタインの神様って、優しいのか、意地悪なのか、わからないですね(笑) わーい!!やっと二人がキスした!!嬉しい!読んでて楽しいです!更新頑張ってください。 (2021年3月5日 23時) (レス) id: 4f2d26b0e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白揚羽 | 作成日時:2021年2月25日 15時

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