seventh 9 ページ34
「ねえ、それっ、」
ガッと掴まれた肩が鈍く痛む。
驚きで同じように目を見開けば、
あからさまに動揺しきった
悟さんの顔が飛び込んできた。
「…それ、Aの武器?」
…それ、とは…小型銃の事だろうか?
私がおずおずと頷けば
悟さんが肩から手を話す。
くるりと後ろを向いてしまったから
表情は見て取れないが、
ぼそぼそと何かを呟いている。
鬼気迫った状況、そんな風に見えた。
私の一体何が悟さんを動揺させているのか…
さっぱり分からなかった。
『あの…』
「…Aさ、黒髪緑目の銃の術式を使う20代位の呪術師を知らない?」
悟さんは振り返らずそう問いかける。
知ってる。もちろん、知ってる。
でもなんでそんな質問を投げかけられるのか、
不思議で仕方がなかった。
『はい、でもそれは…』
私は肯定する。
ようやく悟さんは振り返る。
希望に縋るような、子供のような、
そんな費用時用を浮かべて小さな声で言った。
「…誰?」
『…私、です』
「君は、Aは、銃の術式が使えないんじゃなかったの」
私はそれも頷いて肯定する。
ー、いや、今まで
『よ、幼少期に、自分自身に銃の術式を使用できないようにする代わりに、弓の術式を強化する…という“縛り”を課していました』
でも、それはもう要らないのだ。
その縛りには期限が付いていた。
あれは、弓の術式ー、
《百射皆中》での100本皆中が
できるようになるまでの間の縛りだったから。
それができるようになった今、
その縛りは既に破棄されている。
なので銃の術式の使用が可能になった。
私が銃の術式まで使えると知っている人間は
ごく僅か…祖父、父、硝子位のものだろう。
別に隠していたわけではない。
たかが1級呪術師のかつての情報の
扱われ方なんてそんな物だ。
…自分でもちょっと忘れていたけど。
目を見開き呆然と立ち尽くす悟さんは、
小さく何かを呟いた。
「…やっと、見つけた」
けれどその声は私の元までは届かない。
呪霊が壁を突き破って来たことによる、
凄まじい破壊音に
掻き消されてしまったのだった。
1093人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白揚羽(プロフ) - きゃーぽんさん» 最期までお付き合いいただけて感謝感激です!ギャグも少し心配だったのですが、そう言って貰えるととても安心します…(笑)改めまして、本当にありがとうございました! (2021年2月17日 18時) (レス) id: 400d2ea662 (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - もんて、さん» 反応が遅れてしまいすみません…!最期までお付き合いいただきありがとうございました!そうやって褒めていただけるととても嬉しいです…!改めて、ありがとうございました♪ (2021年2月17日 18時) (レス) id: 400d2ea662 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 完結おめでとうございます!とっても面白かったです!お疲れ様でした (2021年2月17日 1時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
もんて、(プロフ) - 完結おめでとうございます!!臨場感あふれる情景描写や、センスあるギャグが面白くて一気に読んでしまいました!とても面白かったです!お疲れ様でした! (2021年2月5日 0時) (レス) id: 8402b0d99c (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - れんさん» コメントありがとうございます!これからラストスパートとなっていくので…ね?(笑)更新頑張ります! (2021年1月25日 21時) (レス) id: 400d2ea662 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白揚羽 | 作成日時:2021年1月14日 19時