決断 ページ9
*
『知ってどうするの』
自分で訊ねておいてあれだが、もし「そいつの身体から心臓を取り出す」なんて猟奇的な返答が返ってきたらどうしよう。やっぱり私はココに心臓を差し出すべきだろうか。
「心臓の音が聞きたい」
『…え、聞くだけ?』
「赤音さんが、今もどこかで生きている、その確証が欲しい。」
九井一という幼なじみは酷く一途な男だった。好いた人のために人生をかけられるほど、その選択をしたのがまだ小学生だったというほど、とにもかくにも恋にまっすぐな男だった。
『(…うらやましいなぁ)』
こんなにも誰かにまっすぐに、死んでもなお、ずっと想われている赤音さんがうらやましい。しかし、そこまで考えると不意に違和感に気がつく。
違う、そうじゃない。
そうなんだけれど、そうじゃなくてー…
『(…ああ、誰かに想われる赤音さんがうらやましいんじゃなくて、九井一という人に想われ続ける赤音さんがうらやましいのか。)』
このタイミングで、恋心を自覚するなんて。私はなんてついていないのだろう。決して報われない恋だというのに。まだ赤音さんが生きていた頃、あんなにも「鈍感なやつ」とココをいじってきた私もまた、そうとう鈍感なやつだったらしい。
ーーけれど、私は今日、この恋心を殺す。胸に秘めるのではなく、しっかりと殺すのだ。私は自分の部屋着のボタンをぷちぷちと解き始めた。
『じゃあ、教えてあげる』
「は、なんで脱ぐんだよ」
慌てて目を閉じるココの優しさが胸にしみる。ココに愛された赤音さんは幸せ者だ。そしてそんなココに恋することができた私もまた幸せ者だ。この恋は、きっと赤音さんが居なければなしえなかったものに違いない。
『…私が昔、倒れたことは憶えてると思う。その後、しばらく入院していたことも。私はあの時ー…』
目を微かに開いたココと目が合う。正確には、あったような気がした、か。ココの視線は私の胸にある手術痕に釘付けになっていたのだから。
『…心臓移植をしたの。』
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蒼(プロフ) - 胸がキューって苦しくなりました‼︎続編楽しみにしてます!! (2022年3月14日 21時) (レス) @page14 id: 3e56271e58 (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - 最っっ高でした!!どうか続編をどうか続編をお願いしますッ!! (2022年1月13日 15時) (レス) @page14 id: cc47927cf9 (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - ぴよさん» コメントありがとうございます!!!ただいま執筆中ですので是非…🥰🥰 (2021年12月25日 19時) (レス) id: 54b5eea483 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - 続編めちゃくちゃみたいですー!!!!ぜひよろしくお願いします٩( 'ω' )و (2021年12月23日 3時) (レス) @page14 id: 5a0c9ff92a (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - 白さん» コメントありがとうございます…!!!そう言って貰えると本当に嬉しいです…。続編の方も少しずつ進めていけたらと思っています!!ありがとうございました。 (2021年12月21日 20時) (レス) id: 54b5eea483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白揚羽 | 作成日時:2021年12月20日 21時