33話 ページ34
どうしたら良いの、
ねえどうしたら良いの。
どうしてそんな会話をしていたの。
私は、みんなよりも
ちょっと頭が良いから、
変なことを考えてしまうの。
嫌な、可能性を。
廊下を音を立てずに
走っている間に見えたのは、
ちょっとだけ開いたお姉ちゃんの部屋の扉。
いつもは入らないんだけど、
その扉に手をかける。
ーーどうしても、確信が欲しくて。
ちょっとだけ散らかった、埃っぽい部屋。
お姉ちゃんはきれい好きな方なのに…
いや、本当にきれい好きだった?
それさえ、確信がもてないの。
それよりも、いつから、
こんなに散らかるようになったんだっけ?
お姉ちゃんの机の上に広がった
書類の束を必死で捲る。
外れててくれ。
お願いだから、外れててくれ。
『ーーっ、』
ああ、なんで世の中は
こんなにも無情なんだろう。
神も仏もクソもない。
こんな可能性なんて、
今まで考えたこと、なかったよ。
家入A1級術師と2級呪霊による「幼児退行化術式」について。
それを理解するのに時間はいらない。
「あれ、Aちゃん?こんなところに居たんだ」
憂太くん、そう呼ぶ声はない。
喉が張り付いたように、声が出なかったから。
「…それ、」
見ちゃったんだ。
落胆したような、
それでいて淡々としたような、声。
悟くんとおなじ、聞いたこともないような声。
『…憂太くん、何か、知ってる?』
やっと出た声は、
いつもよりもずっとずっとか細くて。
憂太くんの大きな手が私の目を覆う。
この時初めて、
自分が泣いていることを知った。
「見なくて良いよ、」
いいわけないよね。
いいわけが、ないんだよ。
「Aちゃんが傷つかないように、隠してたんだけどなぁ…」
失敗、失敗。
そんな風に続けた憂太くんに抱き着く。
『ごめんなさい…ごめんなさい…!』
「Aちゃんが、謝る事じゃあないでしょ?」
私は、何かを、
なによりも大事な人達との記憶を、
忘れているらしい。
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イリアン - そうでしたかっ!!なんか問い詰めるかのような形で質問してしまい、申し訳ありません。作品はとても面白かったです!答えてくださりありがとうございます!! (2022年1月13日 19時) (レス) id: 5653d48aec (このIDを非表示/違反報告)
白揚羽(プロフ) - イリアンさん» いえ、ほとんどは自分で考えたネタです。ですが作品を作るに当たって友人達からいくつかネタをいただいたので、もしかしたら別作品と被ってしまっている可能性があるかもしれません…。アバウトな回答ですみません🙇🙇 (2022年1月12日 18時) (レス) id: 54b5eea483 (このIDを非表示/違反報告)
イリアン - 失礼します。もしかしてなんですけど、作品の中のギャグってある漫画が元ネタになっていますか? (2022年1月12日 17時) (レス) id: 5653d48aec (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぷりん(プロフ) - ゴンザレス山田...ww 一発目からお腹痛いですww (2022年1月12日 10時) (レス) @page1 id: 7ac428c852 (このIDを非表示/違反報告)
夜空みぃ - 笑いすぎてお腹痛くなりました…wwあのあいうえお表の【しゃけ】のくだりが個人的に好きです(●´ω`●) (2022年1月6日 2時) (レス) @page20 id: 1063b54bda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白揚羽 | 作成日時:2021年3月8日 12時