絶えず笑顔の呪言師さん[男主] (ページ27)

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にじゅーごー。ページ27

1週間後
　
　
Aはひどく疲れていた。
だが、今日は高専に行く日。重い体を起こして外にでる

今でも思い出すほどのいやな気配。
Aは歩きながら自身の手を見つめた。

…

二日前

Aは例の3級呪霊を探しに、埼玉のある廃工場
を訪れていた。

何故埼玉なのか。Aは不思議に思っていたが、
上層部からは明かされなかった。

…

廃工場についた。

途端、Aは激しい目眩に襲われた。

(なにこれ…)

気配は確かに3級呪霊のもの。

ついに立っていられなくなったAは膝をついた。

《ｷﾞﾋﾋｯ…ｷﾞﾋｯ…》

「んっ…」

前を向くと例の3級呪霊がいた。

(さっきまでこんな近くに居なかったのに…)

Aは手を出す時間さえ与えられず、呪霊に
ぶっ飛ばされた。

「ぐっ…！」

《ｷﾞﾋﾋｯ！》

醜い声をあげてAに詰め寄る。

『動くなっ…』

たまらず自らの口から呪言を放つ。
が…

「な、んっ…で？」

ドシャッ

呪霊は動き続け、Aを殴り飛ばした。

Aは殴られた衝撃からではない血を口からはく。

『動くな』…あまり強くない言霊のはずかこんなにも
Aにダメージを与えるなんて…
本人も予期せぬ事態であった。

(まだ、倒れちゃいけない)

その思いだけがAを動かした。

《ｸﾞｸﾞｯ…》

Aが短刀を構えると、呪霊は体を小さく
縮こまらせた。

(ん…？)

不思議に思ったが今は突っ込まざるおえない。
やらなきゃやられる。

Aのこの判断は正しかった。
でも、

《ｷﾞｬｯﾊﾊﾊﾊﾊ！》

いきなり体を起こした呪霊は今まで隠していた
大きな口を開けた。

「っ…！？」

Aは反射的に空中を蹴ろうとした。
いつもなら容易くできる行動。
だが、今のAには出来なかった。

(呪力切れ…？)

Aはその勢いのまま呪霊に突っ込んだ。