episode3 ページ4
今日も今日とて、侑くんは自習スペースに現れる。
「Aさん、お願いやあ」
つい先日と同様、私の正面に座った侑くんは両手を顔の前に合わせて頭を下げる。
この涙でうるうるの瞳に騙される女子はさぞ多いことだろう。
『…どうせまたデートとか言うんでしょ』
あの日は仕方なく帰り道の駄菓子屋に寄ってやったが、あれでは満足できなかったというのか。わがままな奴、私これでも受験生なんですけれど。
しかし、侑くんの答えは予想だにしないものだった。
「ちゃうねん、俺に勉強教えて欲しいねん…！！」
数日前までデートしよ？とか言ってた人間にどんな心境の変化があったのか。思わず2度見する。
まあどちらにしても、人の面倒見れるほどの余裕はないのだけれど。
『申し訳ないけど、他をあたって』
「お願いします飯でも何でも奢ったるから」
ゴンッと音を立てて机に頭を擦り付けるのは、侑くんの隣に座った双子の治くん。
稲荷崎名物の双子が、私に懇願してくる。
勉強が嫌いな2人と聞いていたが、どうして急に勉強をする気になったのか。理由を聞いてみたところ双子は口を揃えて言った。
「「赤点取ったらインハイ出して貰えん！」」
先週末、県予選決勝で見事優勝を手にした稲荷崎高校男子バレー部はインターハイ本戦に出場が決定した。
が、しかし。
気の緩みを察知した顧問が、「期末テストで赤点を取ったらインターハイに出さない」とアホな双子に言ってきたそうだ。
日頃の行いがものを言う。
『そっか。じゃあ頑張ってね』
「お願いやぁぁぁ！！優しく教えてくれるのAさんしか居らんのやー！」
嘆く双子。やめて、ここ自習室。静かに。
そこである人の顔が思い浮かんだ。彼なら、説明は分かりやすいし、教え方も優しい。
『北くんに頼めば良いんじゃない？』
「あかん！なんてこと言うんやAさん！！」
「俺らを殺す気か……！？」
本気で怯え出す双子は北くんに一体何をされたのか。
「別に殺さへんよ。むしろ赤点取らんように助けたるけど？」
双子の背後に立った北くんは丁度いいタイミングで自習室に入って来たところだった。
双子が固まる。
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いすみ(プロフ) - し、しんどい…！！😭😭つらい…！😭😭😭😭心臓ギュォオオオンなりました🥲3人の気持ちがわかるからこそなおのことつらい…！幸せになってくれ………！！！恋路も作者様も応援しております！！！！！！！ (4月20日 17時) (
レス) @page45 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (4月9日 22時) (レス) @page44 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - えええええええええええええ！？！？めっちゃ気になります！！一気読みしてしまいました！どんどん続きが気になって寝る時間が遅くなるばかりですｗ文化祭辛！どっちとくっついても文句はありませんっ！あとたこ焼き北さん可愛いです！ (4月8日 23時) (レス) @page44 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
さおり - 続き出るの楽しみにしてます、、、！読み終わって発狂しました、もう誰のポジでも切なすぎてもう！！！！欲張りなのでどっちのエンドも見たいなとか思っちゃったりしました、とても面白かったです！！ (4月8日 22時) (レス) @page44 id: 9038e3f6f8 (このIDを非表示/違反報告)
きつね - お恥ずかしながら最近になってこのお話を見つけました。最初は軽い気持ちでページを開いたのですが、いつの間にか引き込まれていました。涙も出ました。文字通り胸が締め付けられる、酸っぱい片思いをこんな綺麗に書かれていて本当尊敬しかないです。ずっと大好きです。 (12月13日 13時) (レス) id: 47a5037dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちねこ | 作成日時：2020年4月24日 20時
